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 先日の『怪しい来客簿』の記事で触れた田畑書店の二冊だが、まずは田畑書店編集部/編の『色川武大という生き方』を消化する。
 色川武大の没後30年、生誕90年を記念して編まれた『色川武大・阿佐田哲也電子全集』が完結するということで、福武書店版全集(1991~92年刊)の月報に寄せられた文章三十一編に、全集解題から立川談志、伊集院静を加えた三十三人分のコラムがまとめられている。

 色川武大という生き方

大原富枝/長部日出雄/種村季弘/田中小実昌/中山あい子/柳橋史/畑正憲/福地泡介/山田洋次/野口久光/夏堀正元/荻野いずみ/山田風太郎/高橋治/笠原淳/奥野健男/高井有一/立松和平/都筑道夫/黒川博行/田久保英夫/吉行和子/小林信彦/秋野不矩/小林恭二/江中直紀/山際素男/小田三月/津島佑子/佐伯一麦/井上ひさし/立川談志/伊集院静

 全執筆者は以上。あまりに豪華すぎるラインナップである。まあ、元になっているのが全集の月報だからできることだが、各人の付き合い方もさまざまなので、一般にイメージされている色川武大以外の顔も垣間見えて実に興味深い。内容だけならとにかく文句なしの一冊である。
 ついでにもう一つ褒めておくと、月報をまとめるという企画がいい。全集の副産物的な本とはいえ、そもそも全集をすべて最後まで揃える人はそれほど多くない(色川全集にかぎらず)。第一回配本では相当な部数が出ても、普通は徐々に部数が減少し、最悪中断することもある。したがって月報の文章はなかなか読まれることが少ないわけである。一つのテーマでまとめられた智の集合体であるはずなのに、これはあまりにもったいない。もしかすると本書がなければ、管理人など死ぬまでこれらの文章を読む機会はなかったかもしれない。そんな悲劇を防ぐ意味でも、各出版社はぜひ一考をお願いしたいところである。

 かように本書は非常に満足のゆく一冊ではあるが、実は不満がないわけではない。
 まずは本書が小学館の電子全集完結を記念しているのに、なぜか福武版全集の月報をまとめていること、そしてなぜか田畑書店から出版されていること。これらの事情が一切不明なのはいただけない。まあ、気にしない人もいるだろうが、やはりアンソロジー的な本であれば、どういう経緯で、どういう意味合いでまとめた本なのか、「まえがき」なり「あとがき」で説明してほしいところだ。
 もうひとつは執筆者の紹介がほしいということ。もしかすると色川武大の良い読者であれば常識なのかもしれないが、管理人のように素性のわからない執筆者がいて、イライラしている読者もそれなりにいるはず。そんなに詳しくなくてもかまわないので、後からネット検索するぐらいのとっかかりはほしいところである。
 以上、二点が残念な点だが、おそらく担当編集者は幅広い読者に向けた本を作った経験があまりないのかもしれない。次に似たような本を作ってもらえるなら、ぜひその際は改善していただきたいものだ。





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