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レオ・ブルース『矮小人殺人事件』(湘南探偵倶楽部)
本日もさらっと湘南探偵倶楽部さんの小冊子でお茶を濁す。1993年に刊行されたレオ・ブルースの短編集の表題作でもある Murder in Miniatureの邦訳『矮小人殺人事件』。ビーフ巡査部長が過去に起こった事件を語るというスタイルである。

ビーフが列車でロンドンに向かっていたときのことである。三等席で物思いに耽っていると、列車が大きく揺れた拍子に、網棚から大きな何かが膝の上に落ちてきた。ビーフが目をやると、それは80cmほどの小人の男性の死体、しかもリトル・マンボーの名で知られるサーカスのスターであった……。
強烈な導入だが、ブルースにしてはそこまで凝ったネタではなく、むしろ悪い冗談を読まされたような感じだ。書かれた時代を考えると仕方ないところではあるが、著者の偏見も感じられるし、いろいろな意味でこれはいまひとつ。
本筋とはあまり関係ない話だが、本作ではビーフ巡査部長の高慢なところ、自意識過剰なところがずいぶん顕著である。やはり湘南探偵倶楽部から出た「休日のミッション」ではずいぶん大人しかったのに、どうにも掴みにくいキャラクターである。レオ・ブルースの全作品が訳されれば、そういう疑問も解決するのだがなぁ。

ビーフが列車でロンドンに向かっていたときのことである。三等席で物思いに耽っていると、列車が大きく揺れた拍子に、網棚から大きな何かが膝の上に落ちてきた。ビーフが目をやると、それは80cmほどの小人の男性の死体、しかもリトル・マンボーの名で知られるサーカスのスターであった……。
強烈な導入だが、ブルースにしてはそこまで凝ったネタではなく、むしろ悪い冗談を読まされたような感じだ。書かれた時代を考えると仕方ないところではあるが、著者の偏見も感じられるし、いろいろな意味でこれはいまひとつ。
本筋とはあまり関係ない話だが、本作ではビーフ巡査部長の高慢なところ、自意識過剰なところがずいぶん顕著である。やはり湘南探偵倶楽部から出た「休日のミッション」ではずいぶん大人しかったのに、どうにも掴みにくいキャラクターである。レオ・ブルースの全作品が訳されれば、そういう疑問も解決するのだがなぁ。
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