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トマス・H・クック『テイクン(下)』(竹書房文庫)
トマス・H・クックの『テイクン(下)』読了。スピルバーグが製作したSFテレビドラマを、あのクックがノヴェライズしたもので、「地球に来訪した未知の生命体と3家族が4世代に渡って織り成す壮大なSF大河ドラマ!」である。
なんせストーリーが3つの家族を4世代にまたがって追いかけるうえ、場面もコロコロ変わるので、さすがに上巻の辺りは各家族のイメージが掴みにくく、筋を追うので精一杯のところはある。それが下巻で1本の流れに集約されてくるにしたがい、読みやすさも物語のボルテージも上がってゆく感じだ。
元々がなんせテレビドラマなので、それを上下巻にまとめることに問題があるわけだが、話は思った以上によくまとめられている。人物描写も悪くなく、よくもこれだけの登場人物を書き分けていると感心。ノヴェライズもライター次第で十分に読ませる話になるという見本であろう。
しかしながらお話しそのものが魅力的かと言われれば、それほどのものとは正直思えなかった。肝としては、家族愛あるいは同胞愛という人間ドラマとしての側面、人間同士による狩る側と狩られる側のスリラー的側面、そしてエイリアンが人類の敵か味方かという謎、言い替えればエイリアンの目的は何かというサスペンス的側面があるのだが、とりわけ最後のネタが手垢のついたものだけに、物足りなさは否めない。長い物語の割には、ラストもやや中途半端ではないだろうか。
クックの職人技は認めるにしても、あくまでライトユーザー向け。そんな作品である。
なんせストーリーが3つの家族を4世代にまたがって追いかけるうえ、場面もコロコロ変わるので、さすがに上巻の辺りは各家族のイメージが掴みにくく、筋を追うので精一杯のところはある。それが下巻で1本の流れに集約されてくるにしたがい、読みやすさも物語のボルテージも上がってゆく感じだ。
元々がなんせテレビドラマなので、それを上下巻にまとめることに問題があるわけだが、話は思った以上によくまとめられている。人物描写も悪くなく、よくもこれだけの登場人物を書き分けていると感心。ノヴェライズもライター次第で十分に読ませる話になるという見本であろう。
しかしながらお話しそのものが魅力的かと言われれば、それほどのものとは正直思えなかった。肝としては、家族愛あるいは同胞愛という人間ドラマとしての側面、人間同士による狩る側と狩られる側のスリラー的側面、そしてエイリアンが人類の敵か味方かという謎、言い替えればエイリアンの目的は何かというサスペンス的側面があるのだが、とりわけ最後のネタが手垢のついたものだけに、物足りなさは否めない。長い物語の割には、ラストもやや中途半端ではないだろうか。
クックの職人技は認めるにしても、あくまでライトユーザー向け。そんな作品である。
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