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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

栗田信『双頭の鬼』(湘南探偵倶楽部)

 先日の『銀座不連續殺人事件』に続いて湘南探偵倶楽部さんの新刊をもういっちょ。栗田信の『双頭の鬼』である。

 双頭の鬼

 かつては猫の目正平として知られた大泥棒、緒方正平。現役を退いで貴金属商を営む身だが、暗黒街での顔の広さや鋭い頭脳は健在で、今では警察の知り合いもちょくちょく事件の相談にくるという、知る人ぞ知る存在である。
 その正平の元にやってきたのは古屋刑事。最近、東京で噂されている「蜘蛛男」、二つの頭と八本の手足がついているという、その奇怪な容姿の蜘蛛男を目撃したというのである。その時はまったく古屋刑事の話を信用しなかった正平だが、翌日、新聞には蜘蛛男による最初の犯罪の記事が載っていた……。

 栗田信らしさ全開の怪奇探偵小説である。双頭の鬼=蜘蛛男というキャラクターがすべてだと思うのだが、乱歩のように二十面相の変装とかではなく、文字どおりの怪人というのが恐れ入る。
 それは設定やストーリーなども同じで、何らかのトリックや仕掛けかがあるのだろうと思っていると、ほぼストレートなネタでいやはやなんとも(苦笑)。事件も相当なものだが、犯人の設定がとにかく無茶である。

 そういう作品なので、しかもグロな描写もあるから、とても人様にオススメできるような作品ではない。ただ、最初の警察と蜘蛛男のやりとりや、終盤の正平と蜘蛛男のやりとりなど、見せ場の描写がけっこう達者だし、ラストでヒューマンドラマに仕立ててしまうところなども悪くなく、ついつい面白く読んでしまう(笑)。
 いろいろな意味で復刊の難しい作家だろうが、個人的にはもっと読んでみたいものだ。
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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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