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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


マイクル・コナリー『ダーク・アワーズ(下)』(講談社文庫)

 マイクル・コナリーの『ダーク・アワーズ』読了。夜勤専門刑事レネイ・バラードと元ロス市警刑事のハリー・ボッシュの共演作で、ボッシュの出番も少なくはないのだが、描写のスタイル的にも内容的にも、完全にレネイ・バラードの物語であった。

 ダーク・アワーズ(下)

 前巻の記事でも書いたとおり、今回はバラードがレイプ事件と年越しの夜に起こった殺人事件の両方を追うというストーリーなのだが、そこにはロス市警の腐敗が大きく絡んでおり、バラードの動きは徐々に縛られてしまう。そこでボッシュにサポートを依頼したり、自らもルールの外へ足を踏み出しそうになり、それがさらに自らを窮地に陥れてしまうのだ。
 法律や正義感、自分の信念との間で苦悩し、最後には大きな決断を下すことになるバラードの運命や如何に……というわけでストーリーは相変わらず達者で、とりあえずは面白く読めた。背景にはコロナ禍やトランプ煽動による議事堂襲撃事件も盛り込んでくるし、特に下巻に入ってからの展開は矢継ぎ早ながら破綻もなく、さすが熟練の技としか言いようがない。言ってみれば、シリアスではあるのだが、安心して読めるエンタメドラマといったところである。

 ただ、安定した面白さはあるものの、本作をもって傑作とか感動するところまではいかなかった。最近の作品にかぎっていうと、事件は小粒だし、サプライズも一時期に比べるとかなり少ない。何より主人公の生き様や葛藤がパターン化されてきて昔ほど引き込まれないのである。これはバラードだけでなくボッシュモノにも感じるところだ。
 別につまらなくはないので、ボッシュと娘マディのストーリーが一区切りしたところまでは読もうと思っているのだが、解説によると次作がまたまた衝撃の展開とのことで、ううむ悩ましいのう(苦笑)。

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Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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