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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


デイヴィッド・イーリイ『大尉のいのしし狩り』(晶文社)

 『国枝史郎探偵小説全集全一巻』を購入。でかいし、厚いし、高い。しかし、この充実した内容なら絶対に買いである。ましてや限定1000部。

 読了本はデイヴィッド・イーリイの『大尉のいのしし狩り』。
 『ヨット・クラブ』に続く短編集だが、正直言うとインパクトや怖さでは『ヨット・クラブ』の方が明らかに上だと感じた。もちろん本作でも、人の心にあるダークサイドを巧みに描き出しており、十分楽しめることは間違いない。

The Captain's Boar Hunt「大尉のいのしし狩り」
Starling's Circle「スターリングの仲間たち」
Court of Judgement「裁きの庭」
The Gourmet Hunt「グルメ・ハント」
The Weed Killer「草を憎んだ男」
The Light in the Cottage「別荘の灯」
Always Home「いつもお家に」
No Time to Lose「ぐずぐずしてはいられない」
A Place to Avoid「忌避すべき場所」
Last One Out「最後の生き残り」
Counting Steps「歩を数える」
The Running Man「走る男」
The Squirrel「登る男」
The Marked Man「緑色の男」
Going Backword「昔に帰れ」

 ラストのひねりが秀逸な「裁きの庭」、短い中によくこれだけの味わいを詰め込めるものだと感心してしまう「昔に帰れ」 が個人的ツートップ。ほかにも「グルメ・ハント」や「最後の生き残り」がユーモラスな作品で楽しめた。
 そう、十分に楽しめたはずなのに、それでも少し物足りない気がしてしまうのは、いかに『ヨット・クラブ』の出来が凄かったかという、証しなのであろう。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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