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森咲郭公鳥、森脇晃、kashiba@猟奇の鉄人『Carr Graphic Vol.2 In the midst of the golden age』(饒舌な中年たち)
森咲郭公鳥、森脇晃、kashiba@猟奇の鉄人の三氏によるミステリ同人誌〈Murder, She Drew〉の最新刊にして、別冊ジョン・ディクスン・カー特集の第二弾『Carr Graphic Vol.2 In the midst of the golden age』を購入し、ザッと目を通してみる。
今回は1935年から1938年の作品が対象で、『三つの棺』『火刑法廷』『ユダの窓』といった万人が認める傑作が入っていることもあって、一般的には最も注目される一冊かもしれない。とはいえ本シリーズはカーの全作品を扱っていることに大きな意味があるので本書の価値には関係ないのだけれど、それでもラインナップが華やかな感じになっていい。

中身の方は前作『Carr Graphic Vol.1 The Dawn of Miracles』を踏襲していることもあり、大きく変わったところはないようだ。基本的には楽しく読めて勉強にもなるという(マニアックではあるが)ガイドブックのお手本のような内容。ちょっと走り過ぎて万人向けではないギャグもあるけれど(笑)、商業誌に匹敵できる内容を維持しつつ、同人誌の自由なところも活かしているイメージである。
もちろん森咲郭公鳥氏によるイラストの力は何より大きいだろう。最初は森脇晃氏とkashiba@猟奇の鉄人氏のマニアックなやりとりに惹かれるところが大きかったのだが、いつの間にかイラストの方が楽しみになってきている。まあ、タイトルからして「Carr Graphic」なので、それが本来正い読み方なのだろうけれど。ともかく、もはやこのシリーズは森咲郭公鳥氏抜きには語れない一冊となっている。
ちなみに『Carr Graphic Vol.1 The Dawn of Miracles』は海外でも紹介されたらしく、それも凄いことである。管理人はこれが頭にこびりついていたせいか、X(旧Twitter)で、今回はマップイラストに英語表記も新たについた旨アップしてしまったが、これはまったくの勘違いでVol.1からすでに対応済みであった。訂正してお詫びいたします。
本の作りやデザイン、レイアウトなども同人誌の中では優秀な方だろう。見た目の華やかさとかも大事だが、本誌で言えば、一番肝心なのはマップイラストの見やすさと本文の見やすさ。
個人的には、マップイラストのキャプションはレイアウトやフォントの大きさにもう少し検討の余地があると思うが、本文は版面、行間、文字間ともバッチリで読みやすい。
同人誌で一番気になるのが、実はこの本文のレイアウトで、だいたい詰め込み過ぎて、読みやすさを犠牲にしているパターンが多い。大手出版社の小説本などを参考にすればそこまで難しい話ではないはずなのだが、本書はその点、本文が読みやすくていい。
ただ、一つ気になったのが、シリーズとしての基本デザインを変えてしまったこと。意図は不明だが、これは揃えた方が良かったのになと、少し残念である。
とうわけで細かい注文はつけたけれど、全般的には文句なしに楽しめる上質の一冊であった。次巻は来年の夏頃だというので、楽しみに待つことにしょう。
今回は1935年から1938年の作品が対象で、『三つの棺』『火刑法廷』『ユダの窓』といった万人が認める傑作が入っていることもあって、一般的には最も注目される一冊かもしれない。とはいえ本シリーズはカーの全作品を扱っていることに大きな意味があるので本書の価値には関係ないのだけれど、それでもラインナップが華やかな感じになっていい。

中身の方は前作『Carr Graphic Vol.1 The Dawn of Miracles』を踏襲していることもあり、大きく変わったところはないようだ。基本的には楽しく読めて勉強にもなるという(マニアックではあるが)ガイドブックのお手本のような内容。ちょっと走り過ぎて万人向けではないギャグもあるけれど(笑)、商業誌に匹敵できる内容を維持しつつ、同人誌の自由なところも活かしているイメージである。
もちろん森咲郭公鳥氏によるイラストの力は何より大きいだろう。最初は森脇晃氏とkashiba@猟奇の鉄人氏のマニアックなやりとりに惹かれるところが大きかったのだが、いつの間にかイラストの方が楽しみになってきている。まあ、タイトルからして「Carr Graphic」なので、それが本来正い読み方なのだろうけれど。ともかく、もはやこのシリーズは森咲郭公鳥氏抜きには語れない一冊となっている。
ちなみに『Carr Graphic Vol.1 The Dawn of Miracles』は海外でも紹介されたらしく、それも凄いことである。管理人はこれが頭にこびりついていたせいか、X(旧Twitter)で、今回はマップイラストに英語表記も新たについた旨アップしてしまったが、これはまったくの勘違いでVol.1からすでに対応済みであった。訂正してお詫びいたします。
本の作りやデザイン、レイアウトなども同人誌の中では優秀な方だろう。見た目の華やかさとかも大事だが、本誌で言えば、一番肝心なのはマップイラストの見やすさと本文の見やすさ。
個人的には、マップイラストのキャプションはレイアウトやフォントの大きさにもう少し検討の余地があると思うが、本文は版面、行間、文字間ともバッチリで読みやすい。
同人誌で一番気になるのが、実はこの本文のレイアウトで、だいたい詰め込み過ぎて、読みやすさを犠牲にしているパターンが多い。大手出版社の小説本などを参考にすればそこまで難しい話ではないはずなのだが、本書はその点、本文が読みやすくていい。
ただ、一つ気になったのが、シリーズとしての基本デザインを変えてしまったこと。意図は不明だが、これは揃えた方が良かったのになと、少し残念である。
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