- Date: Mon 22 08 2005
- Category: 国内作家 山田風太郎
- Community: テーマ "歴史・時代小説" ジャンル "本・雑誌"
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山田風太郎『婆娑羅』(講談社文庫)
山田風太郎『婆娑羅』読了。忍法帖、幕末もの、明治ものと書き継いできた著者が新たに臨んだジャンルが南北朝から室町にかけてという時代であり、本書はそのシリーズの1作目にあたるという。
ちなみに「婆娑羅」とは「華美な衣装などで飾り立てたり、ぜいたくの限りをつくしたりして、この世を謳歌すること」。この時代、そんな婆娑羅を体現していたのが、婆娑羅大名として知られる佐々木道誉である。著者は鎌倉幕府滅亡から室町幕府成立に至る動乱の時代を、佐々木道誉を主人公にして語っていく。
そもそも南北朝時代というのが、歴史ファンでもないかぎりわかりにくい時代ではある。日本の歴史上、ふたつの朝廷が存在するだけでも希なことなのに、一応実権を握っていた足利家も内紛は絶えず、下克上も多かった。
もちろんそれには様々な理由があるのだが、著者はその大きな一因を、佐々木道誉の生き様に挙げ、この複雑な時代を解き明かしてゆく。その手際が見事で、クライマックスでは道誉に対する強烈な意趣返しも用意している。
全般的には十分楽しめる一冊だが、それほどページ数も多くない本なので、やや駆け足になるのが物足りなく、またわかりにくい部分もある。できれば「太平記」や他の山風の歴史ものを読むなど、多少の予習をしてからの方が楽しめるかもしれない。
ちなみに「婆娑羅」とは「華美な衣装などで飾り立てたり、ぜいたくの限りをつくしたりして、この世を謳歌すること」。この時代、そんな婆娑羅を体現していたのが、婆娑羅大名として知られる佐々木道誉である。著者は鎌倉幕府滅亡から室町幕府成立に至る動乱の時代を、佐々木道誉を主人公にして語っていく。
そもそも南北朝時代というのが、歴史ファンでもないかぎりわかりにくい時代ではある。日本の歴史上、ふたつの朝廷が存在するだけでも希なことなのに、一応実権を握っていた足利家も内紛は絶えず、下克上も多かった。
もちろんそれには様々な理由があるのだが、著者はその大きな一因を、佐々木道誉の生き様に挙げ、この複雑な時代を解き明かしてゆく。その手際が見事で、クライマックスでは道誉に対する強烈な意趣返しも用意している。
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ああ、これ読むんですね(笑)。
レビュー、期待してます。