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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


オーエン・デイヴィス『九番目の招待客』(国書刊行会)

 国書刊行会〈奇想天外の本棚〉からオーエン・デイヴィスの『九番目の招待客』を読む。先日読んだ扶桑社ミステリーのグウェン・ブリストウ&ブルース・マニング『姿なき招待主』を原作にした戯曲版である

 九番目の招待客
▲オーエン・デイヴィス『九番目の招待客』(国書刊行会)【amazon

 基本的な設定や大まかなストーリーはもちろん小説版とほぼ同様なので、先日の記事を参考にしてもらうとして、小説版の戯曲版の違いについて少し書いておこう。
 といっても、この点については小説版である『姿なき招待主』の解説でも言及されており、あまり付け加えることはない。もっとも大きいのは、最後の最後で犯人が仕掛けるトラップの部分がカットされていることだろう。これに付随して犯人のキャラクター性が明らかになる長台詞も大幅に減っている。この両者によって、犯人の特異な部分が大幅に薄められてしまい、そもそもミステリとしての重要なネタが減らされるのはなんとも残念である。

 ただ、舞台で実際に見るということを考慮すると、戯曲版がいくつかの要素を削った理由も理解はできる。最後に語られる犯人の特異性も、そもそも一般にはわかりにくいところがあるし(特に当時は)、ラストで変に長台詞を聞かされるより、ハッピーエンドでサクッと切り上げた方が客ウケは良かったと思われる。

 まあ、そうはいっても純粋にミステリ的な観点だけでみれば、やはり出来としては小説版が上なのは動かないところだろう。そういえば『そして誰もいなくなった』も小説版と戯曲版でラストが異なるけれど、しかもあちらはよりストーリーに影響を与える違いである、それなのにどちらもアリだと思わせるのは、さすがクリスティ自身が脚本も手がけただけのことはある。

Comments

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fontankaさん

おや、ご存知なかったとは意外ですね。小説版の方が正直、出来はいいと思いますが、戯曲はかなり読みやすいので、読み比べてみるのもよろしいかと。

Posted at 22:16 on 02 03, 2024  by sugata

Edit

おお! 戯曲版は「奇想天外の本棚」だったんですね。まったく気が付かず。(戯曲探さなくちゃとだけ思っていたのでした)
情報ありがとうございます。

Posted at 20:07 on 02 03, 2024  by fontanka

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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