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島田一男『社会部記者』(双葉文庫)
じんま疹。だいぶ治まったが完治にはまだ数日かかりそうな気配。虫歯。1本治療し終えたが、引き続き2本目を治療中。ここ数年医者になどかかったことがなかったのに、ここにきて2件、同時進行である。しかも来週のどこかで人間ドック後の再検査も受けなきゃいかんし。なんだかなあ。
久々の島田一男。『社会部記者』を読む。
著者の島田一男は本格でデビューした作家だが、途中から記者という経歴を生かした社会部記者シリーズを書き始め、そのスピーディーな展開や会話が人気を博して一気にブレイクした作家である。
本書はその社会部記者シリーズの短編集。第四回の日本推理作家協会賞(当時は日本探偵作家クラブ賞)短編賞を受賞した「午前零時の出獄」をはじめ「遊軍記者」「新聞記者」「風船魔」の計四短編を収録している。
全編に共通していえるのは、上でも触れたようにスピーディーな展開と漫才の掛け合いでも見るような記者同士のやりとり、さらには記者魂とでもいうべき仕事に対する誇りなど。
今読んでも、いや、今読むからこそかえって新鮮なのだろう。とりわけ注目したいのは、当時の日本のミステリ・シーンではまだ珍しかったであろうチームワークでの捜査の描写だ。超人的な探偵はいないけれど、それを補うのが圧倒的な機動力と連携。文章も走っているので、いっそう勢いが増し、とにかく読んでいて心地よい。実際の地名が頻出したり、当時の風俗もけっこう描かれているので、そういう楽しみ方もまた一興かと。
収録中の四作の中では、記者たちの機動力が特に活かされる「午前零時の出獄」、殺された有名女性ダンサーが風船に揺られて空中遊泳するという魅力的な導入の「風船魔」がおすすめ。
久々の島田一男。『社会部記者』を読む。
著者の島田一男は本格でデビューした作家だが、途中から記者という経歴を生かした社会部記者シリーズを書き始め、そのスピーディーな展開や会話が人気を博して一気にブレイクした作家である。
本書はその社会部記者シリーズの短編集。第四回の日本推理作家協会賞(当時は日本探偵作家クラブ賞)短編賞を受賞した「午前零時の出獄」をはじめ「遊軍記者」「新聞記者」「風船魔」の計四短編を収録している。
全編に共通していえるのは、上でも触れたようにスピーディーな展開と漫才の掛け合いでも見るような記者同士のやりとり、さらには記者魂とでもいうべき仕事に対する誇りなど。
今読んでも、いや、今読むからこそかえって新鮮なのだろう。とりわけ注目したいのは、当時の日本のミステリ・シーンではまだ珍しかったであろうチームワークでの捜査の描写だ。超人的な探偵はいないけれど、それを補うのが圧倒的な機動力と連携。文章も走っているので、いっそう勢いが増し、とにかく読んでいて心地よい。実際の地名が頻出したり、当時の風俗もけっこう描かれているので、そういう楽しみ方もまた一興かと。
収録中の四作の中では、記者たちの機動力が特に活かされる「午前零時の出獄」、殺された有名女性ダンサーが風船に揺られて空中遊泳するという魅力的な導入の「風船魔」がおすすめ。
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