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コーネル・ウールリッチ『恐怖』(ハヤカワ文庫)
ウールリッチ強化月間は続く。本日の読了本は『恐怖』。ジョージ・ハプリイ名義で書かれた、比較的後期の作品である。
主人公は会社員のプレスコット。金持ちの娘マージョリーと結婚することになり、前途は洋々であった。だが彼は酔った勢いで意識のほとんどないまま見知らぬ女性と一夜を過ごし、強請られる羽目となる。そして結婚式の当日、押し掛けてきた彼女をとうとう絞殺してしまうのだった。事件の発覚を恐れた彼はニューヨークを離れ、マージョリーと遠くの町で暮らすことにしたが……。
ストーリーはいたってシンプル。殺人を犯した主人公が、いつ事件が発覚するのか、いつ捕まるのか、恐怖する心理を延々と描き、その息苦しさたるや半端ではない。そして犯罪者に相応の辛い結末が待っているが、これもまたいつにも増して辛いものだ。
本作を語るうえで、もうひとつ忘れてはならないのが、いつも以上の詩的な文章。一章がまるまる詩のように綴られたパートまであるという徹底振り。驚きはないものの、本作はウールリッチのエッセンスが凝縮された一冊であり、ファンなら気持ちよく酔える一冊といえるだろう。
主人公は会社員のプレスコット。金持ちの娘マージョリーと結婚することになり、前途は洋々であった。だが彼は酔った勢いで意識のほとんどないまま見知らぬ女性と一夜を過ごし、強請られる羽目となる。そして結婚式の当日、押し掛けてきた彼女をとうとう絞殺してしまうのだった。事件の発覚を恐れた彼はニューヨークを離れ、マージョリーと遠くの町で暮らすことにしたが……。
ストーリーはいたってシンプル。殺人を犯した主人公が、いつ事件が発覚するのか、いつ捕まるのか、恐怖する心理を延々と描き、その息苦しさたるや半端ではない。そして犯罪者に相応の辛い結末が待っているが、これもまたいつにも増して辛いものだ。
本作を語るうえで、もうひとつ忘れてはならないのが、いつも以上の詩的な文章。一章がまるまる詩のように綴られたパートまであるという徹底振り。驚きはないものの、本作はウールリッチのエッセンスが凝縮された一冊であり、ファンなら気持ちよく酔える一冊といえるだろう。
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