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コーネル・ウールリッチ『恐怖の冥路』(ハヤカワ文庫)
コーネル・ウールリッチの『恐怖の冥路』を読む。
金も職もなくさまよい歩く主人公スコット。彼はたまたま拾った財布を正直に届けたことで、ローマンというギャングの親玉に運転手として雇われた。だが、スコットはローマンの妻イヴと激しい恋に落ち、ハバナへ駆け落ちすることになる。しかしローマンの手は遠いハバナまで及んでいた。場末の酒場でイヴが殺され、スコットは容疑者として逮捕されてしまったのだ……。
珍しく都会を離れ、南国ハバナという歓楽地を舞台にした物語。主人公は逮捕された後、脱走を図り、ローマンに対して復讐を試みるというお話しである。しかし、ここのところ読んだ三冊すべてが復讐譚とは。
それはさておき。本作は特別凝ったところのない、極めてオーソドックスなスリラーorハードボイルに仕上がっている。ただ、熱帯の猥雑な雰囲気を活かそうとしてか、けっこう泥臭い感じに物語を展開しているのだが、お洒落なウールリッチの文体にはいまひとつ馴染まない感じだ。それとも異色作を狙いすぎて失敗したか?
唯一、主人公を助ける女性キャラが魅力的で、彼女と主人公の関係が変にべたつかない、いい感じに描かれている。でもそれが逆にハバナの雰囲気とは合わないのだな。やはりウールリッチは都会を舞台にすべきか。
退屈はしなかったが、人にお勧めできるほどの作品とまではいかない、そんな微妙な一冊。
金も職もなくさまよい歩く主人公スコット。彼はたまたま拾った財布を正直に届けたことで、ローマンというギャングの親玉に運転手として雇われた。だが、スコットはローマンの妻イヴと激しい恋に落ち、ハバナへ駆け落ちすることになる。しかしローマンの手は遠いハバナまで及んでいた。場末の酒場でイヴが殺され、スコットは容疑者として逮捕されてしまったのだ……。
珍しく都会を離れ、南国ハバナという歓楽地を舞台にした物語。主人公は逮捕された後、脱走を図り、ローマンに対して復讐を試みるというお話しである。しかし、ここのところ読んだ三冊すべてが復讐譚とは。
それはさておき。本作は特別凝ったところのない、極めてオーソドックスなスリラーorハードボイルに仕上がっている。ただ、熱帯の猥雑な雰囲気を活かそうとしてか、けっこう泥臭い感じに物語を展開しているのだが、お洒落なウールリッチの文体にはいまひとつ馴染まない感じだ。それとも異色作を狙いすぎて失敗したか?
唯一、主人公を助ける女性キャラが魅力的で、彼女と主人公の関係が変にべたつかない、いい感じに描かれている。でもそれが逆にハバナの雰囲気とは合わないのだな。やはりウールリッチは都会を舞台にすべきか。
退屈はしなかったが、人にお勧めできるほどの作品とまではいかない、そんな微妙な一冊。
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