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コーネル・ウールリッチ『黒衣の花嫁』(ハヤカワ文庫)
先日、早川書房から遂に『コーネル・ウールリッチの生涯(上・下)』が刊行された。もちろんウールリッチの伝記である。もともと大好きな作家なのでさっそく買ったのはいいのだが、よく考えるとまだ未読の長編がいくつか残っている。できれば長編ぐらいは全作読んでからとりかかりたいので、今月は個人的にウールリッチ月間ということに決める。
で、その一発目の読了本が、コーネル・ウールリッチ『黒衣の花嫁』。
いわゆるミッシング・リンク・テーマで、まったく関係ないと思われる複数の事件が起こるが、実は……というもの。長編ながら連作短編を思わせる構成で、男性が一人ずつ殺されてゆくというエピソードをつなぎあわせている。その影に浮かびあがる一人の女性、その正体は? そして目的は?
ミッシング・リンク・テーマで有名なものというと、まず思いつくのはクリスティの『ABC殺人事件』だろう。『ABC殺人事件』は純粋な本格のため、その失われた鍵が何なのか、どのように見つけだすことができるか、に主眼が置かれる。
対してウールリッチの本作では、その辺がうまく処理されていないようだ。極論すれば推理する過程はどうでもよく、女性が被害者に近づき、どのように男を殺害するかに興味の中心がある。サスペンスに彩られた男女のドラマとでもいおうか、読みどころはそこだ。ただ、そうはいっても、やはりミッシング・リンクの謎解きが鮮やかに決まればいうことはないわけで、最後のどんでん返しも含めてプロットの弱さが惜しい。有名な作品だし、個人的にはウールリッチ独特の世界が好きなので楽しめたが、客観的にはまずまずといったところだろう。
で、その一発目の読了本が、コーネル・ウールリッチ『黒衣の花嫁』。
いわゆるミッシング・リンク・テーマで、まったく関係ないと思われる複数の事件が起こるが、実は……というもの。長編ながら連作短編を思わせる構成で、男性が一人ずつ殺されてゆくというエピソードをつなぎあわせている。その影に浮かびあがる一人の女性、その正体は? そして目的は?
ミッシング・リンク・テーマで有名なものというと、まず思いつくのはクリスティの『ABC殺人事件』だろう。『ABC殺人事件』は純粋な本格のため、その失われた鍵が何なのか、どのように見つけだすことができるか、に主眼が置かれる。
対してウールリッチの本作では、その辺がうまく処理されていないようだ。極論すれば推理する過程はどうでもよく、女性が被害者に近づき、どのように男を殺害するかに興味の中心がある。サスペンスに彩られた男女のドラマとでもいおうか、読みどころはそこだ。ただ、そうはいっても、やはりミッシング・リンクの謎解きが鮮やかに決まればいうことはないわけで、最後のどんでん返しも含めてプロットの弱さが惜しい。有名な作品だし、個人的にはウールリッチ独特の世界が好きなので楽しめたが、客観的にはまずまずといったところだろう。
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