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P・G・ウッドハウス『比類なきジーヴス』(国書刊行会)
P・G・ウッドハウスの『比類なきジーヴス』を読む。ウッドハウスは伝統的英国ユーモア小説の原点とも称されるほどの作家だが、読むのはこれが初めてである。本国ではシェイクスピアと同格で語られることも少なくないらしく、ウッドハウスの作品そのものがすでに教養の一部であるらしい。
とまあ、そんな能書きは知らなくとも、この小説は単純に楽しめる。
主人公は高等遊民的な青年バーティーと、その執事ジーヴス。バーティーは学もお金もある気だての良い青年だが、少し人が良すぎるところがあり、そのせいか常に珍事件の数々をしょいこんでしまう。そのトラブルを鮮やかに解決してくれるのが執事たるリーヴスだ。この二人を中心に、恋愛マニアとでもいえそうなバーティーの友人ビンゴや、トラブルメーカーとして有名なバーティーの双子の従兄弟などの面子が入り乱れ、さまざまな活躍を披露する。
いかにも英国らしい上品なユーモアが本書の最大の特徴。とりわけ今ではお約束となった感のある数々のお笑いのパターンが、あちらこちらにうかがえるのが興味深い。翻訳では完全に伝わらない部分もあるのだろうが、慣れ親しんだ笑いの設定やパターンがここまで詰まっているとは意外だった。
例えばバーティーの存在などは、いかにも落語に出てくる若旦那を連想させるし、ジーヴスによるバーティーへのツッコミは、海外のコメディドラマなどでもお馴染みのパターンだ。風刺やブラックな笑いなどは、それこそ王道。
正直な話、本書が楽しめるのは一部の好事家だけであろうと推測してあまり期待していなかっただけに、この万人受けする内容は本当に意外だった。国書だけではなく、文藝春秋からもウッドハウスの作品集が発売されているが、ホントに日本におけるウッドハウス元年てことになりそう。
なお、日本における久々のウッドハウス紹介なので、巻末の解説は、もっとウッドハウスの略歴や書誌等を充実させてほしかった。
とまあ、そんな能書きは知らなくとも、この小説は単純に楽しめる。
主人公は高等遊民的な青年バーティーと、その執事ジーヴス。バーティーは学もお金もある気だての良い青年だが、少し人が良すぎるところがあり、そのせいか常に珍事件の数々をしょいこんでしまう。そのトラブルを鮮やかに解決してくれるのが執事たるリーヴスだ。この二人を中心に、恋愛マニアとでもいえそうなバーティーの友人ビンゴや、トラブルメーカーとして有名なバーティーの双子の従兄弟などの面子が入り乱れ、さまざまな活躍を披露する。
いかにも英国らしい上品なユーモアが本書の最大の特徴。とりわけ今ではお約束となった感のある数々のお笑いのパターンが、あちらこちらにうかがえるのが興味深い。翻訳では完全に伝わらない部分もあるのだろうが、慣れ親しんだ笑いの設定やパターンがここまで詰まっているとは意外だった。
例えばバーティーの存在などは、いかにも落語に出てくる若旦那を連想させるし、ジーヴスによるバーティーへのツッコミは、海外のコメディドラマなどでもお馴染みのパターンだ。風刺やブラックな笑いなどは、それこそ王道。
正直な話、本書が楽しめるのは一部の好事家だけであろうと推測してあまり期待していなかっただけに、この万人受けする内容は本当に意外だった。国書だけではなく、文藝春秋からもウッドハウスの作品集が発売されているが、ホントに日本におけるウッドハウス元年てことになりそう。
なお、日本における久々のウッドハウス紹介なので、巻末の解説は、もっとウッドハウスの略歴や書誌等を充実させてほしかった。
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