Posted
on
有本倶子/編『山田風太郎疾風迅雷書簡集』(神戸新聞総合出版センター)
エミルオンから『コナン・ドイル小説全集第5巻マイカー・クラーク(下)』が届く。案内状に近況などが書かれているが、キャンセルや郵便事故などで大変そうだ。なかには高価すぎるという声もあるらしい。
ううむ、不満を持っている購入者は何を考えているのやら。本シリーズは予約のみのたった120部しか刷っていないため、もともと利益など出るはずもない。単純計算でわかると思うが配布分の110部が完売したとしても、定価3100円×110部で35万円弱にしかならないのだ。もちろん訳者の印税など出るはずもなく、関係者の強い志だけでやっているようなものである。貴重なドイルの小説全集が出るだけでもありがたいのに、このうえ何を求めようというのか? 定価が高くて嫌なら最初から注文しなければいいわけで、勝手にキャンセルしてこのシリーズが途中で立ちゆかなくなったら、どうしてくれる。制作者たちが苦労して作った貴重な本にたかだか3千円も出せない輩は、一生図書館で本を読んでいればよい。
読了本は有本倶子/編『山田風太郎疾風迅雷書簡集』。これも関係者の頑張りで出たような本。山田風太郎が学生時代に、離れて暮らす学友に送った手紙をまとめたもので、大変面白く読めた。手紙に綴ったなかには、若かりし日の風太郎が書いた詩や句、絵なども見受けられ、その才能の片鱗を見ることができる。
また、手紙は基本的に明朗でありながら、青年期ならではの鬱屈した部分、それは自分の夢や才能についての不安であったり、肉親たちとの軋轢であったりするが、そういう部分はやはり引き込まれてしまう。とりわけ終戦後の手紙はさすがにトーンが変わり、友人へのアドバイスもただ励ますだけでなく、現状を踏まえた厳しい内容になっているのが風太郎らしい。
しかし先日読んだ『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』もそうだったが、なぜ昔の人はこうも手紙の持ちがよいのか。近年はもっぱらeメールしか使わなくなった自分を省みることしばし。
ううむ、不満を持っている購入者は何を考えているのやら。本シリーズは予約のみのたった120部しか刷っていないため、もともと利益など出るはずもない。単純計算でわかると思うが配布分の110部が完売したとしても、定価3100円×110部で35万円弱にしかならないのだ。もちろん訳者の印税など出るはずもなく、関係者の強い志だけでやっているようなものである。貴重なドイルの小説全集が出るだけでもありがたいのに、このうえ何を求めようというのか? 定価が高くて嫌なら最初から注文しなければいいわけで、勝手にキャンセルしてこのシリーズが途中で立ちゆかなくなったら、どうしてくれる。制作者たちが苦労して作った貴重な本にたかだか3千円も出せない輩は、一生図書館で本を読んでいればよい。
読了本は有本倶子/編『山田風太郎疾風迅雷書簡集』。これも関係者の頑張りで出たような本。山田風太郎が学生時代に、離れて暮らす学友に送った手紙をまとめたもので、大変面白く読めた。手紙に綴ったなかには、若かりし日の風太郎が書いた詩や句、絵なども見受けられ、その才能の片鱗を見ることができる。
また、手紙は基本的に明朗でありながら、青年期ならではの鬱屈した部分、それは自分の夢や才能についての不安であったり、肉親たちとの軋轢であったりするが、そういう部分はやはり引き込まれてしまう。とりわけ終戦後の手紙はさすがにトーンが変わり、友人へのアドバイスもただ励ますだけでなく、現状を踏まえた厳しい内容になっているのが風太郎らしい。
しかし先日読んだ『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』もそうだったが、なぜ昔の人はこうも手紙の持ちがよいのか。近年はもっぱらeメールしか使わなくなった自分を省みることしばし。
- 関連記事
-
-
山田風太郎 『山田風太郎新発見作品集』(出版芸術社) 2015/07/01
-
山田風太郎『忍法相伝73』(戎光祥出版) 2013/12/28
-
山田風太郎『山田風太郎少年小説コレクション2 神変不知火城』(論創社) 2012/08/14
-
山田風太郎『山田風太郎少年小説コレクション1 夜行珠の怪盗』(論創社) 2012/07/19
-
山田風太郎『婆娑羅』(講談社文庫) 2005/08/22
-
有本倶子/編『山田風太郎疾風迅雷書簡集』(神戸新聞総合出版センター) 2005/06/21
-
山田風太郎『あと千回の晩飯』(朝日文庫) 2005/03/09
-
山田風太郎『風眼抄』(中公文庫) 2004/12/10
-
山田風太郎『妖説太閤記(下)』(講談社文庫) 2004/12/02
-
山田風太郎『妖説太閤記(上)』(講談社文庫) 2004/11/30
-
山田風太郎『天狗岬殺人事件』(出版芸術社) 2004/08/17
-
山田風太郎『人間臨終図巻III』(徳間文庫) 2004/05/23
-
山田風太郎、高木彬光『悪霊の群』(出版芸術社) 2004/05/17
-
山田風太郎『太陽黒点』(廣済堂文庫) 2004/05/06
-
山田風太郎『人間臨終図巻II』(徳間文庫) 2004/04/18
-