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久生十蘭『地底獣国』(現代教養文庫)
現代教養文庫版の久生十蘭傑作選から『地底獣国』読了。収録作は以下のとおり。
「地底獣国」
「黒い手帳」
「海豹島」
「墓地展望亭」
「カイゼルの白書」
「犂氏の友情」
「月光と硫酸」
「レカミエー夫人」
収録作のなかで気に入ったものを選ぶとすれば、べたで恥ずかしいけれど、やはり「地底獣国」と「海豹島」になってしまう。どちらも幻想的な作品で、いわば異世界を舞台にしたもの。その特殊な舞台装置のうえで織りなされるドラマがまた眩惑的で強烈な印象を残す。とりわけミステリ的に決着をつけた「海豹島」は本作の個人的ベストである。また、少々強引なストーリー展開が惜しまれるが、「墓地展望亭」のようなロマンチックな冒険談も悪くない。
本作を読んであらためて思ったのだが、十蘭の作品は意外なほど探偵小説が少なく、幻想小説や冒険小説といったテイストの作品が多い。まあ、断言できるほど十蘭の小説を読んできたわけでもないので、あくまで印象なのだが。
ただ、どんな作品においても語り口は常にハイレベルであり、しかも独自の世界を醸し出している。もともと演劇の世界の人だから、魅せる部分においても抜かりがない。そんな久生十蘭にとって探偵小説とはいったいどういう存在であったのか。そのうち評論でも読んでみたいものだ。
「地底獣国」
「黒い手帳」
「海豹島」
「墓地展望亭」
「カイゼルの白書」
「犂氏の友情」
「月光と硫酸」
「レカミエー夫人」
収録作のなかで気に入ったものを選ぶとすれば、べたで恥ずかしいけれど、やはり「地底獣国」と「海豹島」になってしまう。どちらも幻想的な作品で、いわば異世界を舞台にしたもの。その特殊な舞台装置のうえで織りなされるドラマがまた眩惑的で強烈な印象を残す。とりわけミステリ的に決着をつけた「海豹島」は本作の個人的ベストである。また、少々強引なストーリー展開が惜しまれるが、「墓地展望亭」のようなロマンチックな冒険談も悪くない。
本作を読んであらためて思ったのだが、十蘭の作品は意外なほど探偵小説が少なく、幻想小説や冒険小説といったテイストの作品が多い。まあ、断言できるほど十蘭の小説を読んできたわけでもないので、あくまで印象なのだが。
ただ、どんな作品においても語り口は常にハイレベルであり、しかも独自の世界を醸し出している。もともと演劇の世界の人だから、魅せる部分においても抜かりがない。そんな久生十蘭にとって探偵小説とはいったいどういう存在であったのか。そのうち評論でも読んでみたいものだ。
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>清貧おやじさん
はじめまして。
御存じでしょうが、私も清貧おやじさんのブログはたまに拝見させてもらってます。今後ともよろしくお願いします。
久生十蘭は河出文庫でもうすぐ傑作集が出るそうですから、また親しんでみてはいかがでしょうか。
Posted at 16:15 on 05 30, 2010 by sugata