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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


森下雨村『猿猴川に死す』(小学館文庫)

 本日の読了本は、森下雨村の『猿猴川に死す』。先日の『ふらんす料理への招待』に続いて、探偵小説作家の余技的一冊。まあ、森下雨村の場合、探偵小説作家というよりは、あの「新青年」の初代編集長といった方がとおりはいいだろう。

 本書はその森下雨村による釣りエッセイ集。関西のつり社から刊行されたものの文庫化で、何とバリバリの新刊。現在、森下雨村の書いた本で現役なのは、春陽文庫の『青斑猫』ぐらいなので、これは実に驚くべきことだ。ただ不思議なのは、この『猿猴川に死す』、小学館文庫版のほかに何故かまったく同じタイミングで平凡社ライブラリー版も出たようなのだ。なんで?
 で、ちょっと気になってネットで調べてみると、小学館文庫版は、元版についていた横溝正史らの序文がばっさりカットされているらしい。大ショック。その代わりといっては何だが、かくまつとむ氏による森下雨村の小伝が第2部として収録されている。平凡社ライブラリー版はこの逆のようだ。ただ、肝心の二冊同時復刻の理由はさっぱり解らなかった。うう、気になるなぁ。

 さて、肝心の中身はというと、こちらが釣りに関してはまったくの素人なのだが、それなりに面白く読めるのは流石としかいいようがない。とはいうものの、やっぱり気になるのは探偵小説に関係する部分。引退した雨村が横溝正史に手紙を書き、釣りについてのエッセイを出せるよう手伝ってもらえないか頼むエピソードなどは大変興味深い。雨村の人柄が手紙の文面から滲み出ており、思わず横溝のつれない返信に怒りを感じるほどであった(笑)。

 ところで今、日記を書いていてふと気づいたのだが、考えたら雨村の小説をほとんど読んでいないではないか。『青斑猫』も長らく積ん読状態なので、これを機に読んでみますか。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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