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城昌幸『若さま侍活人剣』(桃源社)
先日読んだ『若さま侍活殺剣』とは桃源社の同じ叢書に収められている作品だ。そこで先日のような勘違いをしないよう、袖の紹介文と目次にはしっかりと目を通すことにする。すると案の定ワナが(笑)。
本書のタイトルは『若さま侍活人剣』だが、中身は長編「べらんめえ活人剣」と短編「呪えば穴二つ」の二作を収録したものであることが判明する。なぜ、長編の「べらんめえ活人剣」が入っているのに、わざわざタイトルを『若さま侍活人剣』に変える必要があったのか? まったく意味がわからん。まあ、長編が複数収録されていたりするなら理解もできるが、これでは読者をだまし討ちにしているようなものではないか。本書の刊行は1973年だが、こういうことは当たり前の時代だったのだろうか。そもそも同じ叢書の中に、『若さま侍活人剣』と『若さま侍活殺剣』という非常に紛らわしい書名が混在することも問題である。どう考えても過去の作品を新作と間違えて買わせようという魂胆としか思えないものなあ。
まあいい。とりあえず今回は事前にこれだけの考察ができたのだ。安心して読めると思ったところが……。ページを捲っているうちに、以前に読んだ気が沸々としてくるわけである。いや、まさか、う、これは、ああ、この展開は……!
結論。『若さま侍活人剣』に収録の「べらんめえ活人剣」は『双色渦巻』の改題だったのである。そういえば以前、光文社文庫版の『若さま侍捕物手帖』の解説あたりで、このシリーズは改題が多いとかいう話を読んでいたことを思い出す。しかし本当に油断のならないシリーズだよなぁ。というわけで感想はそちらを参考のこと。
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Comments
ありがとうございます。光文社文庫のを探してみまする。
若さまの身分については、続報をお待ちしております。さすがに副将軍は嘘っぽい気がしますね~(^^;
Posted at 21:12 on 04 23, 2007 by Sphere
Sphereさん
いらっしゃいませ。
若さま侍、冗談抜きでいいですよ~。
あまりミステリ要素を期待しすぎるとあれですが、
それでもだいたい短編では、最後に若さまの謎解きもどきがあるので、
雰囲気は悪くないです。
とりあえず試すなら光文社文庫の『若さま侍捕物手帖』が、
入手もしやすいし、内容も悪くないです。
ちなみに若さまの身分ですが、『南蛮秘夢』ではなんと副将軍と明かされています。
水戸黄門と同じですね。
「十一代将軍のご落胤」という記述は、
今のところ原作ではなかったように思います。
読んでない作品がまだまだあるので、
そのうち新たな事実も見つかるかもしれません。
気を長くして続報をお待ち下さい(笑)。
Posted at 23:46 on 04 22, 2007 by sugata
「若さま侍~」は、子供の頃に田村正和主演のをテレビで見てました。(今もスカパーでやってます)
ふだんは武士姿ではなく船宿の船頭などをしている遊び人で、ラストの殺陣は独楽を投げて登場。
ナレーションでは「さる大名のご落胤で、母方の祖父が曲芸独楽使いの名人だった」と紹介されますが、スカパーの番組紹介を見ると「十一代将軍のご落胤」となってました。でも侍スタイルの時に紋を見てみたのですが、葵の紋ではなく、どうみても独楽の形の紋(-_-)
原作は読んだことありませんが、ミステリっぽいのなら今度読んでみたいです。
それにしても長編だと思ったら短編集だったり、ミステリだと思ったら伝奇だったり、満を持して読み始めたら改題されて読んだやつだったりと色々大変なシリーズのようですね(^^;
Posted at 20:55 on 04 22, 2007 by Sphere
Sphereさん
やっぱり副将軍は嘘っぽいかなぁ(苦笑)
やや記憶が曖昧になってきてますが、
若さまが悪人に向かって言ったセリフなんですよね、確か。
状況的には確かに微妙かも~。
Posted at 03:26 on 04 24, 2007 by sugata