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香山滋『海底牢獄』(ソノラマ文庫)
香山滋の『海底牢獄』読了。ジュヴナイルだが、以前に読んだ同じくジュヴナイルの『悪魔の星』がけっこうきつかったので、あまり期待せずに読み始める。
名探偵と呼ばれた父を亡くし、母と二人で暮らす花山達夫少年。その彼のもとに行方不明だったユキ子からの手紙が届けられた。彼女は亡父の親友の娘だった。仕事で遠方へ行った親友の頼みで、花山家で預かっていたのだが、ほどなくしてユキ子は行方不明となってしまう。その彼女から1カ月ぶりに届いた手紙だ。ところが手紙を読んでみると、心配は無用とのこと。かえって不自然なものを感じた達夫は、名探偵と呼ばれた父に負けじと、自分の手でユキ子を見つけだそうと決意する。
『悪魔の星』を読んだときには、ここまでご都合主義的でよいのかと思ったものだが、少し免疫ができてきたのか、あまり抵抗なく読める。だからといって本作がまともなのかというとそんなことは全然なくて、主人公たちのピンチの切り抜け方やストーリー展開は相変わらず凄まじい。乱歩や正史の少年ものとは明らかに別物である。とにかく話の膨らませ方がすごく、そういう意味では楽しめるのだが、真っ当な評価は難しい。読んで得るものも正直少ないし(笑)。
ただ言えるのは、当時のジュヴナイル=少年向け小説は、現代のものより遙かに想像の幅が大きいということ。現代よりはるかに情報は少ないはずだが、だからこそ逆にイマジネーションが鍛えられたのだろうか。とにかくその点はあっぱれ。ある種の中毒性をもつのが怖いところだ(笑)。
名探偵と呼ばれた父を亡くし、母と二人で暮らす花山達夫少年。その彼のもとに行方不明だったユキ子からの手紙が届けられた。彼女は亡父の親友の娘だった。仕事で遠方へ行った親友の頼みで、花山家で預かっていたのだが、ほどなくしてユキ子は行方不明となってしまう。その彼女から1カ月ぶりに届いた手紙だ。ところが手紙を読んでみると、心配は無用とのこと。かえって不自然なものを感じた達夫は、名探偵と呼ばれた父に負けじと、自分の手でユキ子を見つけだそうと決意する。
『悪魔の星』を読んだときには、ここまでご都合主義的でよいのかと思ったものだが、少し免疫ができてきたのか、あまり抵抗なく読める。だからといって本作がまともなのかというとそんなことは全然なくて、主人公たちのピンチの切り抜け方やストーリー展開は相変わらず凄まじい。乱歩や正史の少年ものとは明らかに別物である。とにかく話の膨らませ方がすごく、そういう意味では楽しめるのだが、真っ当な評価は難しい。読んで得るものも正直少ないし(笑)。
ただ言えるのは、当時のジュヴナイル=少年向け小説は、現代のものより遙かに想像の幅が大きいということ。現代よりはるかに情報は少ないはずだが、だからこそ逆にイマジネーションが鍛えられたのだろうか。とにかくその点はあっぱれ。ある種の中毒性をもつのが怖いところだ(笑)。
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