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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ジョン・クリーシー『トフ氏と黒衣の女』(論創海外ミステリ)

 日本ではJ・J・マリック名義によるギデオン警視シリーズの方が有名だろうが、本国イギリスでは(おそらく)本名の方が遙かに名の通っているジョン・クリーシー。彼はミステリやウェスタンや恋愛小説など、500冊以上の著書を残した超売れっ子作家であり、その中でも人気だったのがトフ氏と呼ばれる貴族探偵を主人公にしたシリーズだった。その1冊がこのたび始まった論創海外ミステリに収録されることになり、個人的にはラッフルズ以上に気になっていた作品でもある。

 ある日のこと、トフ氏は高級レストランで、黒衣を着た女性と老人のカップルを目撃する。黒衣の女性は名をアーマ・カーデューといい、実は以前、トフ氏の活躍によって殺人で逮捕された希代の悪女であった。忽然とロンドンに現れたアーマの目的は何か? やがてトフ氏は彼女がレンウェイという資産家の財産を狙っていることを突き止めるが……。

 トフ氏ことリチャード・ローリソン卿は、貴族にして素人探偵でもある。莫大な財産と腕っ節、頭脳、度胸の良さを武器に(武器多すぎ)、犯罪を暴き、正義を貫くことを自分に課している。
 ハードボイルドと言うよりは通俗的な活劇小説であり、良くも悪くもトフ氏の活躍と派手な展開がすべてだろう。そういう意味ではミッキー・スピレインやハドリー・チェイスというより、OO7などにつながるポジションなのかなとも思う。どちらにせよ消費するだけの小説ではあるが、当時の絶大なる人気作家だけあって読ませる技術は高く、それなりにオチもうまくつけているのはさすがだ。
 ただ、本書はまあまあ楽しめたが、膨大な著作のある作者のこと、シリーズ全体がこのレベルを保っているかどうかは怪しい。本書の売れ行き次第だろうが、もう一冊読んでみたい気はする。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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