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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


蘭郁二郎『地底大陸』(桃源社)

 昨年末から読書ペースがどっと落ちてきているが、あまり回復の兆しがない。一応、購入ペースも落ちてきており、そちらはまあ結構なことなんだけど。ついでに書くと日記のペースもかなり落ちてきてるな。反省。
 本日の読了本、蘭郁二郎の『地底大陸』にしても、先日読んだ『火星の魔術師』とけっこう重複が多いのでもっとサクッと読めるかと思ったが3日もかかっている。もちろんつまらないわけではなく、単にこちらに時間がないのと疲れているだけ。読みたい本は山のようにあるので、早く本調子に戻したいが、下旬ぐらいまでは厳しそうだ。

 それはさておき。蘭郁二郎の『地底大陸』である。まずは収録作から。

「海底紳士」
「地図にない島」
「植物人間」
「脳波操縦士」
「火星の魔術師」
「地底大陸」
「夢鬼」「魔像」

 先ほどもちょっと触れたように、「地図にない島」「火星の魔術師」「夢鬼」「魔像」と、半分が『火星の魔術師』とダブリ。あまり効率はよくないのだが、かなりの時を隔てて刊行された傑作選だから、これは仕方あるまい。逆にいうとこの四編が代表作という見方もできるわけで、確かにこのあたりは戦時色もあまり出ておらず、おすすめできる作品ではある。特に「夢鬼」はそのアイデアといい、意外な展開といい、まさに悪夢のような物語である。
 ただ、ちょっと気になったのだが、蘭郁二郎はアイデアありきで、あまり長編は得意じゃなかったのではないだろうか。それでも「夢鬼」あたりはある程度しっかり構想していないと書けない作品だろうが、本書で収録されているその他の長めの作品、「海底紳士」や「地底大陸」はただ感性のおもむくままに流している感じだ。ご都合主義も決して少なくないし、結末も妙に慌ただしかったり、あるいは唐突だったりする。突飛な話だからこそ、もう少しきれいにまとめてくれるとより楽しめたのだが。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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