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城昌幸『金紅樹の秘密』(講談社ロマン・ブックス)
激動の一週間、というほどのものではないが、ここまで仕事が慌ただしいのも久しぶりである。忙しいというよりも、バタバタしているという感じ。夜は夜で仕事絡みの忘年会。横浜は中華街まで出かけ、その後はカラオケ。
読了本は城昌幸の『金紅樹の秘密』。講談社ロマンブックス版(元本は講談社の書下し長編探偵小説全集)からの一冊。
いきなり横道にそれるが、講談社ロマンブックスやポケット文春に代表される昔の新書というのは、とにかく薄いのがいい。今のノベルズと呼ばれる新書はあの厚さが好きになれず、携帯性に著しく欠けるのが難点である。小説に限っていえば、薄い新書というと今では早川のポケミスしかないのだが、こちらも活字が大きくなるにつれて以前よりだいぶ厚くなってきている気がする。あのスタイリッシュな雰囲気を壊さないよう、ポケミスだけは薄くあってもらいたいものだが。
それはともかく。
『金紅樹の秘密』である。
主人公のミステリ作家、矢田部正一のもとに匿名の女性から手紙が届けられた。それは何と夫の殺害を予告するという内容であった。矢田部は数少ない手がかりから女性の正体を突き止め、事件を未然に防ごうとする。だが時すでに遅く、夫は死亡しており、さらに第二の殺害が発生する。
数枚の手紙からの女性の正体を突き止めたり、衆人環視のなかでの殺人が起きたりと、表面的にはミステリマインドに溢れた作品。だがネタ自体は大したことがなく、しかも後半は伝奇小説的な展開を見せる。したがって純粋な本格探偵小説を期待すると大きく裏切られるはめになるのだが、それに憤慨するのは間違い。
要はこの作品、若さま侍シリーズと同じ文脈で書かれているのであり、あくまで娯楽に徹した大衆小説なのだ。適度な謎、適度な冒険、適度なロマンスなどがほどよく盛り込まれ、そういう観点で読めば楽しい作品といえるだろう。もちろん同じ理由から、ミステリマニア、城昌幸ファンでもない限り、無理に探して読む本でもないわけだが。
読了本は城昌幸の『金紅樹の秘密』。講談社ロマンブックス版(元本は講談社の書下し長編探偵小説全集)からの一冊。
いきなり横道にそれるが、講談社ロマンブックスやポケット文春に代表される昔の新書というのは、とにかく薄いのがいい。今のノベルズと呼ばれる新書はあの厚さが好きになれず、携帯性に著しく欠けるのが難点である。小説に限っていえば、薄い新書というと今では早川のポケミスしかないのだが、こちらも活字が大きくなるにつれて以前よりだいぶ厚くなってきている気がする。あのスタイリッシュな雰囲気を壊さないよう、ポケミスだけは薄くあってもらいたいものだが。
それはともかく。
『金紅樹の秘密』である。
主人公のミステリ作家、矢田部正一のもとに匿名の女性から手紙が届けられた。それは何と夫の殺害を予告するという内容であった。矢田部は数少ない手がかりから女性の正体を突き止め、事件を未然に防ごうとする。だが時すでに遅く、夫は死亡しており、さらに第二の殺害が発生する。
数枚の手紙からの女性の正体を突き止めたり、衆人環視のなかでの殺人が起きたりと、表面的にはミステリマインドに溢れた作品。だがネタ自体は大したことがなく、しかも後半は伝奇小説的な展開を見せる。したがって純粋な本格探偵小説を期待すると大きく裏切られるはめになるのだが、それに憤慨するのは間違い。
要はこの作品、若さま侍シリーズと同じ文脈で書かれているのであり、あくまで娯楽に徹した大衆小説なのだ。適度な謎、適度な冒険、適度なロマンスなどがほどよく盛り込まれ、そういう観点で読めば楽しい作品といえるだろう。もちろん同じ理由から、ミステリマニア、城昌幸ファンでもない限り、無理に探して読む本でもないわけだが。
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名無しさん
>矢田部は谷田部の間違い?
お恥ずかしい。いま現物にあたってみましたが、まさしく「谷田部」が正解です。
まさか記事を書いて十年近くたってから、誤字を指摘されるとは(苦笑)。
Posted at 00:08 on 08 29, 2014 by sugata