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デイヴィッド・イーリイ『憲兵トロットの汚名』(ハヤカワミステリ)
引き続きデイヴィッド・イーリイから『憲兵トロットの汚名』読了。
休暇でパリにいたトロット軍曹は、友人の憲兵マレイを緊急逮捕せよという命令を受ける。しかし、マレイに逃げられたトロットは、本部から故意に逃亡を助けたと疑われ、訊問や嫌がらせを受け始める。そして遂にあるときトロットの怒りが爆発、執拗に嫌がらせを続けていたコウ軍曹をワインボトルで殴り殺してしまう。トロットは自暴自棄から軍を脱走してパリに向かうが、そこでさらなる事件に遭遇してしまう……。
本作は先日読んだ『蒸発』に先立つイーリイのデビュー作。ある目的を持った主人公が、いつの間にかその思惑とは外れたところで数奇な運命に巻き込まれる、という設定は似ているものの、出来は『蒸発』に比べるとかなり落ちる感じ。本作では「数奇な運命」そのものがありがちで、それほど興味深いものではない(というか『蒸発』がよすぎる)。結果的にわりとオーソドックスなサスペンスものに終始しており、本領発揮というにはほど遠い印象だ。
ちなみに『蒸発』と本作は同じ年に発表されているので、もしかしたら長篇での方向性を探っていた時期なのかとも思う。
休暇でパリにいたトロット軍曹は、友人の憲兵マレイを緊急逮捕せよという命令を受ける。しかし、マレイに逃げられたトロットは、本部から故意に逃亡を助けたと疑われ、訊問や嫌がらせを受け始める。そして遂にあるときトロットの怒りが爆発、執拗に嫌がらせを続けていたコウ軍曹をワインボトルで殴り殺してしまう。トロットは自暴自棄から軍を脱走してパリに向かうが、そこでさらなる事件に遭遇してしまう……。
本作は先日読んだ『蒸発』に先立つイーリイのデビュー作。ある目的を持った主人公が、いつの間にかその思惑とは外れたところで数奇な運命に巻き込まれる、という設定は似ているものの、出来は『蒸発』に比べるとかなり落ちる感じ。本作では「数奇な運命」そのものがありがちで、それほど興味深いものではない(というか『蒸発』がよすぎる)。結果的にわりとオーソドックスなサスペンスものに終始しており、本領発揮というにはほど遠い印象だ。
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