fc2ブログ
探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


デイヴィッド・イーリイ『蒸発』(ハヤカワミステリ)

 台風がピークを迎えようとするなか、散髪にいってついでに書店に立ち寄る。風太郎や小川洋子、ジャーロの17号を購入。ジャーロの巻頭にはエドワード・D・ホックの特集が載っているが、ホックがもうすっかりお爺さんという感じになっていてびっくり。その昔、ジャーロの前身EQで見たときはまだ壮年という感じだったが、考えたらそれは二十年ぐらい前の話なので当たり前か。いや、こっちもその分歳をとったということだが。

 読了本はデイヴィッド・イーリイの『蒸発』。
 何一つ不満のない生活のはずだった。しかし、そんな自分の人生に疑問を感じ、新たな生活を始めたいと願うある銀行の副頭取。そんな彼のもとに、死んだはずの友人から電話がかかってくる。なんと、蒸発を請け負ってくれる会社があるというのだ……。

 『ヨットクラブ』であらためてその実力を見直したデイヴィッド・イーリイだが、長篇もすごい。どんな作家でも「奇妙な味」といえばたいていは短編中心。長篇でその不思議なテイストを維持するのはなかなか難しいことだと思うのだが、この『蒸発』では最初からお終いまで常にそのレベルを保ち続ける。
 主人公を待ち受ける状況がとにかく不可思議で面白く、しかも主人公はそのレールに乗らず迷走する。とにかく先がどうなるのかここまで気になる小説も珍しい。奇妙なサスペンスに満ちあふれた傑作。オススメです。

関連記事

Comments

« »

02 2024
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 - -
プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

ツリーカテゴリー