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ジョン・フランクリン・バーディン『死を呼ぶペルシュロン』(晶文社)
ジョン・フランクリン・バーディンの『死を呼ぶペルシュロン』を読む。
「先生、俺、きっと頭が変なんです」
髪に赤いハイビスカスを挿した青年の話は、その外見さながらに変なものだった。青年は小人に雇われ、さまざまな奇妙な仕事を引き受けては小金を稼いでいるのだという。話に興味をもった精神科医は、彼と同行してその小人に会いに行くのだが、やがて悪夢のような事件に巻きこまれてゆく。女優の殺人事件、容疑者となったハイビスカスの青年、そして精神科医自らも精神病院に収容されるはめに……。
なんというか、あの『悪魔に喰われろ青尾蠅』を書いた作者だし、前評判も聞いていたのである程度予想していたつもりだったが、さらにその上をいく奇妙なミステリである。特に前半は設定そのものがおかしなうえに、展開がまったく読めない。精神科医が病院で目覚めるあたりでは、「そうきたか」という感じ。終盤ではやや普通のミステリらしくなるものの、かなり強引などんでん返しを見舞ってくれるので、その意味ではリーダビリティは高いといえるだろう。
だがミステリとしてはいまいち。その奇抜な設定そのものが説得力をもたず、強引すぎる展開と解決には思わず引いてしまう。
文体や描写はまともだし、ミステリとしての衣をけっこうしっかり纏っているのでつい騙されてしまうが、やはりこの人の抱えるテーマは別のところにあると言ってよいのではないか。作家では思い浮かばないが、デビッド・リンチ監督と似た作風といえば、わかってもらえるだろうか。
とにもかくにも個性が強すぎるので、読者を選ぶことは間違いないだろう。
「先生、俺、きっと頭が変なんです」
髪に赤いハイビスカスを挿した青年の話は、その外見さながらに変なものだった。青年は小人に雇われ、さまざまな奇妙な仕事を引き受けては小金を稼いでいるのだという。話に興味をもった精神科医は、彼と同行してその小人に会いに行くのだが、やがて悪夢のような事件に巻きこまれてゆく。女優の殺人事件、容疑者となったハイビスカスの青年、そして精神科医自らも精神病院に収容されるはめに……。
なんというか、あの『悪魔に喰われろ青尾蠅』を書いた作者だし、前評判も聞いていたのである程度予想していたつもりだったが、さらにその上をいく奇妙なミステリである。特に前半は設定そのものがおかしなうえに、展開がまったく読めない。精神科医が病院で目覚めるあたりでは、「そうきたか」という感じ。終盤ではやや普通のミステリらしくなるものの、かなり強引などんでん返しを見舞ってくれるので、その意味ではリーダビリティは高いといえるだろう。
だがミステリとしてはいまいち。その奇抜な設定そのものが説得力をもたず、強引すぎる展開と解決には思わず引いてしまう。
文体や描写はまともだし、ミステリとしての衣をけっこうしっかり纏っているのでつい騙されてしまうが、やはりこの人の抱えるテーマは別のところにあると言ってよいのではないか。作家では思い浮かばないが、デビッド・リンチ監督と似た作風といえば、わかってもらえるだろうか。
とにもかくにも個性が強すぎるので、読者を選ぶことは間違いないだろう。
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