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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


エドマンド・クリスピン『白鳥の歌』(国書刊行会)

 エドマンド・クリスピンの『白鳥の歌』読了。

 オックスフォードで催される歌劇の初日を間近に控え、稽古も佳境を迎えていた……はずだったが、主役のショートハウスは歌手としては一流ながら、人間的には最低レベル。指揮者や作曲家の兄、恋敵の歌手などなど様々なトラブルを巻き起こし、開幕すら危ぶまれる状態だった。そんなある夜、歌劇場の楽屋でショートハウスの首吊り死体が発見される。事件の解明に乗りだしたお馴染みのフェン教授だが、さらに怪事件が次々と勃発してゆく……。

 以前に『永久の別れのために』読んだとき、クリスピンの作品に対して「印象が薄い」という感想を書いた。客観的にみても安定した良質の作品を書いている作家だとは思うのだが、個人的にはどうにも相性が合わないのである。残念ながら本作を読んでも、それほどクリスピン作品に対するイメージは変わらなかった。
 適度なユーモア、ちょっとばかり高尚な蘊蓄、意外な結末など、要素一つひとつは悪くないのに、相変わらず読んでいて物足りなさが残る(ただ、本作においてはトリックに無理があるとは思う)。やはりクリスピンでなければ、という強烈な個性が感じられない。
 例えばトリックにはもっと無理があり、ユーモアと言うより寒いギャグも多い、カーの諸作品がなぜ印象に残るのか。もちろん単純に比較はできないが、完成度は低くともカーの作品は輝いて見えるのである。

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Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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