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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

城昌幸『若さま侍捕物手帖 南蛮秘夢』(廣済堂出版)

 本日よりハリポタが公開される。なんだかんだ言いながら一応は観ておきたいものの、並ぶ気力がないので当分は無理だな。それにしてもレギュラー三人の子役たちの立派になったことよ。

 読了本は実に久しぶりの城昌幸、久しぶりの若さま侍から、『若さま侍捕物手帖 南蛮秘夢』。
ここ一週間ぐらい鞄に詰めて、通勤電車の中でちまちまと読み進めてきたものを、ようやく今日になって読み終えた。ちなみに本書は廣済堂出版より刊行された短編集だが、なんと目次が無く、最初はてっきり長篇だと思っていた。ページ数もかなりあり、超大作気分でこちらは読み始めたのに、最初の十ページ程度で話が終わったときのショックと言ったら(笑)。

 まあ、そんなことはどうでもよい。本作は若さま侍ものを三十二編も収めたきわめて読み応えのある一冊。現在入手可能な春陽文庫の五冊とも重複が少ないので、ファンなら古本屋で見かけたら買っておいて損はない(値段にもよるが)。
 なお、本作の収録作のなかで、若さま侍の身分が明らかになる場面を見つけたのはちょっと衝撃だった。若さま自らその身分を名乗るのだが、いつもの調子でやや冗談めかして語るため、真偽のほどが掴みにくいのが残念。しかもその身分というのが、当時、実際には存在しなかった役職なのである。ただ、そんなことを城昌幸が知らなかったとは考えにくいので、おそらくは物語の都合上、完全に架空の身分を設定したのかもしれない。「若さま侍」というキャラクターを活かすための方便として。

「南蛮秘夢」
「くぜつ幽霊」
「あの世からの落し物」
「金の実る木」
「両国橋・天満橋」
「お手討ち文」
「どんどろ闇」
「小唄からくり」
「恋の生首」
「愛憎二ツならず」
「尻取り経文」
「からくり蝋燭」
「風来坊」
「悪心・善心」
「霊亀香人形供養(れいきこうにんぎょうくよう)」
「謎の封筒」
「暗闇まつり」
「小一郎変化」
「石見銀山」
「白浪商人」
「お慈悲裁き」
「あやめかきつばた」
「十六剣通し」
「捕物道中」
「金づる駕籠」
「命の恋」
「乙姫女房」
「女狐ごろし」
「お影さま明神」
「嘘つき長屋」
「刺鳥竿がらみ」
「勘兵衛参上」

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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