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香山滋『地球喪失』(講談社ロマン・ブックス)
この日記にあまりネガティヴなことは書きたくないが、ほんとに仕事でイライラすることが多い。俺自身、頭がいい方などとは夢にも思っていないが、ほんとーーーーーに世の中バカが多すぎる。日々募るイライラを読書によって少しでも解消できるってことだけでも、この世に探偵小説があってよかった思う。
香山滋の『地球喪失』読了。地球侵略もののSFといってよいのか?
ある科学者が偶然に入手した未知の地球外生命体シャドウ。しかし、研究が進むにつれ、科学者の助手は、それがやがて地球を喪失させるほどの危険性を孕んでいることに気づく。しかし研究者としての使命を優先する科学者は処分に反対したため、地球の運命を憂える助手は、秘かに研究所からシャドウを持ち出してしまった。しかし、逆にそれが皮肉な展開を招くことになる……。
ううむ、微妙な作品である。メッセージ性の強い『ゴジラ』などとはちょっと異なり、地球外生命体という設定が、どうしてもリアルな読み方を拒否してしまう。ならば徹底したエンターテインメントなのかといわれると、肝心のシャドウがそれほど大暴れするわけでもないので、拍子抜けもするのも確か。どちらかというと人間ドラマ、強いて言えば科学者の職業的使命というところに著者の比重は置かれている。
まあ、マッド・サイエンティストものとして読めば、それ自体が十分メッセージ性を持っているわけだが、それにしては登場人物たちの行動がどうにも納得しにくい部分も多く、ドラマとしても完成度は低いと言わざるを得ないだろう。
ちなみにシャドウのイメージは、映画の『ゴジラ対ヘドラ』に登場したヘドラに近い(段階を経て、能力や形状が進化するところなど)。もしかしたら映画のスタッフはこの作品を参考にしたのではないだろうか。
香山滋の『地球喪失』読了。地球侵略もののSFといってよいのか?
ある科学者が偶然に入手した未知の地球外生命体シャドウ。しかし、研究が進むにつれ、科学者の助手は、それがやがて地球を喪失させるほどの危険性を孕んでいることに気づく。しかし研究者としての使命を優先する科学者は処分に反対したため、地球の運命を憂える助手は、秘かに研究所からシャドウを持ち出してしまった。しかし、逆にそれが皮肉な展開を招くことになる……。
ううむ、微妙な作品である。メッセージ性の強い『ゴジラ』などとはちょっと異なり、地球外生命体という設定が、どうしてもリアルな読み方を拒否してしまう。ならば徹底したエンターテインメントなのかといわれると、肝心のシャドウがそれほど大暴れするわけでもないので、拍子抜けもするのも確か。どちらかというと人間ドラマ、強いて言えば科学者の職業的使命というところに著者の比重は置かれている。
まあ、マッド・サイエンティストものとして読めば、それ自体が十分メッセージ性を持っているわけだが、それにしては登場人物たちの行動がどうにも納得しにくい部分も多く、ドラマとしても完成度は低いと言わざるを得ないだろう。
ちなみにシャドウのイメージは、映画の『ゴジラ対ヘドラ』に登場したヘドラに近い(段階を経て、能力や形状が進化するところなど)。もしかしたら映画のスタッフはこの作品を参考にしたのではないだろうか。
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