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シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』(河出書房新社)
吉祥寺にできた(といっても去年の春ですが)TRICK&TRAPというミステリ専門の新刊書店をのぞいてくる。店は小さいものの品揃えはまずまずよく、店も上品で雰囲気は悪くはないのだが、なんだか物足りない。なんというか、もう少し驚かされる要素や面白い要素を盛り込んでもよいのではないだろうか。ないものねだりかな?
シオドア・スタージョンの『海を失った男』は実に楽しい短編集だったが、河出書房新社から出た『不思議のひと触れ』も十分すぎるほどのクオリティを備えた短編集である。編者が大森望ということもあり、SF寄りのラインナップと想像していたのだが、スタージョンは本来SF作家なので、まあこれは考えたら当たり前の話か(笑)。それでも本書を読み終えた今、それほどSF臭が強調されているようには思わなかった。むしろ青春小説の香りを漂わせた、上質な作品集という印象である。
好みの作品もそのラインに沿ったものばかり。表題作の「不思議のひと触れ」、ジャズをテーマにした「ぶわん・ばっ!」、引きこもりに勇気を与える(笑)「閉所愛好症」、そしてラストの「孤独の円盤」。SFとしての評価はともかく、読んで元気になる、という観点からいえば、その効能は素晴らしいの一言。
巻末には翻訳の続報がちらりと書かれていたが、もう一気に短編全集とか出してほしいものである。
Heavy Insurance「高額保険」
The Other Cellia「もうひとりのシーリア」
Shadow, Shadow on the Wall「影よ、影よ、影の国」
A God in a Garden「裏庭の神様」
A Touch of Strange「不思議のひと触れ」
Wham Bop!「ぶわん・ばっ!」
Tandy's Story「タンディの物語」
The Claustrophile「閉所愛好症」
Thunder and Roses「雷と薔薇」
A Saucer of Loneliness「孤独の円盤」
シオドア・スタージョンの『海を失った男』は実に楽しい短編集だったが、河出書房新社から出た『不思議のひと触れ』も十分すぎるほどのクオリティを備えた短編集である。編者が大森望ということもあり、SF寄りのラインナップと想像していたのだが、スタージョンは本来SF作家なので、まあこれは考えたら当たり前の話か(笑)。それでも本書を読み終えた今、それほどSF臭が強調されているようには思わなかった。むしろ青春小説の香りを漂わせた、上質な作品集という印象である。
好みの作品もそのラインに沿ったものばかり。表題作の「不思議のひと触れ」、ジャズをテーマにした「ぶわん・ばっ!」、引きこもりに勇気を与える(笑)「閉所愛好症」、そしてラストの「孤独の円盤」。SFとしての評価はともかく、読んで元気になる、という観点からいえば、その効能は素晴らしいの一言。
巻末には翻訳の続報がちらりと書かれていたが、もう一気に短編全集とか出してほしいものである。
Heavy Insurance「高額保険」
The Other Cellia「もうひとりのシーリア」
Shadow, Shadow on the Wall「影よ、影よ、影の国」
A God in a Garden「裏庭の神様」
A Touch of Strange「不思議のひと触れ」
Wham Bop!「ぶわん・ばっ!」
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The Claustrophile「閉所愛好症」
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