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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


小栗虫太郎『潜航艇「鷹の城」』(現代教養文庫)

 小栗虫太郎『潜航艇「鷹の城」』読了。収録作は以下のとおり。

「潜航艇「鷹の城」」
「地虫」
「倶利伽羅信号」
「人魚謎お岩殺し」
「一週一夜物語」

 前回に読んだ『青い鷺』から中一ヶ月。読みにくい作家なので、これぐらいのペースで十分だな、やっぱり。しかし、小栗作品の感想を書く度に「読みにくい」を連発していると、こっちの頭の悪さを告白しているようで嫌なのだが、やはり読みにくいものは読みにくい。

 一応、目玉は中編の「潜航艇「鷹の城」」ということになるだろう。前半は割と冒険小説的、法水が登場する後半は本格探偵小説的と、構成が大きく二つに分けられる点が特徴。だが一粒で二度美味しいというよりは、アンバランスな構成という印象が勝る。
評論などによると、「潜航艇「鷹の城」」はペダンティズムあふれる本格探偵小説からロマンティズムあふれる伝奇小説へと、作者の志向が移行する時期の作品であるとのこと。なるほど、確かにその変遷を伺うには意味のある作品といえるが、いかんせん強引な設定に無理があり、特に法水が登場してくる後半は違和感ばかりがつきまとう。

 なお、今や絶版の現代教養文庫版小栗虫太郎傑作選だが、このシリーズはとにかく解説が素晴らしい。作品ごとの校異から解題、解説と至れり尽くせりなので、現役の扶桑社文庫とちくま文庫を持っている人でも、本書は買っておく価値がある。難を言えば、作品に振られた番号が少々わかりにくくて不親切だが、それを差し引いてもお見事。

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Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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