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エリック・ガルシア『マッチスティック・メン』(ヴィレッジブックス)
かつてない恐竜探偵というキャラクターを生みだしたエリック・ガルシアが、詐欺師をネタにした小説を書いた。しかもそれに惚れぬいたあのリドリー・スコット監督が映画化したというから期待するなという方が無理な話だ。本日の読了本は、その『マッチスティック・メン』。
でぶで堅実なロイとやせっぽちで浪費家のフランキーは凄腕の詐欺師。対照的な二人だが、ロイがリーダーシップをとることでこれまで何とかやってきた。ところがロイの別れた妻の元から、一度も会ったことのない娘、アンジェラがやってきたことから、二人の関係に微妙な亀裂が入り始める。そしてロイは娘のため、とうとう詐欺師から足を洗うことを決意し、最後の大勝負に挑むことになる……。
掴みとして必要不可欠な詐欺師のテクニックはもちろん楽しめる。だが本書の読みどころは何といってもロイの心情だ。鬱病を抱え、薬とカウンセリングで何とか精神の均衡を保とうとするロイは、人生をシンプルに考えざるを得ない。そうすることで自分の中にくすぶる火種を抑えつけているのだ。しかし、娘の登場で信頼する相棒との関係はおかしくなり、だが同時に複雑な人生もまたよいものであることに気づき始める。
最後に待っている大がかりな詐欺は、どんでん返しの果てにほろ苦い結末で幕を閉じる。自分の人生とかぶる部分は少ないが、ロイの生き方にはどこか共感を抱かせ、この小説を読んで良かったというほのかな満足感が残る。小粒だけど読む価値は大。
でぶで堅実なロイとやせっぽちで浪費家のフランキーは凄腕の詐欺師。対照的な二人だが、ロイがリーダーシップをとることでこれまで何とかやってきた。ところがロイの別れた妻の元から、一度も会ったことのない娘、アンジェラがやってきたことから、二人の関係に微妙な亀裂が入り始める。そしてロイは娘のため、とうとう詐欺師から足を洗うことを決意し、最後の大勝負に挑むことになる……。
掴みとして必要不可欠な詐欺師のテクニックはもちろん楽しめる。だが本書の読みどころは何といってもロイの心情だ。鬱病を抱え、薬とカウンセリングで何とか精神の均衡を保とうとするロイは、人生をシンプルに考えざるを得ない。そうすることで自分の中にくすぶる火種を抑えつけているのだ。しかし、娘の登場で信頼する相棒との関係はおかしくなり、だが同時に複雑な人生もまたよいものであることに気づき始める。
最後に待っている大がかりな詐欺は、どんでん返しの果てにほろ苦い結末で幕を閉じる。自分の人生とかぶる部分は少ないが、ロイの生き方にはどこか共感を抱かせ、この小説を読んで良かったというほのかな満足感が残る。小粒だけど読む価値は大。
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