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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ロバート・B・パーカー『虚空』(ハヤカワ文庫)

 腰痛でダウン。目が覚めてもしばらく動けず、やむなく会社を休む。原因ははっきりしており、日曜に家で長時間パソコンを使って仕事をしたせいである。机と椅子の高さのバランスが悪いのはわかっており、普段は気をつけているのだが、ちょっと根を詰めすぎたようだ。つくづく年をとったと痛感。情けない。

 そんなわけで家で一日中横になって読書。久々にパーカーのスペンサーものを読んだ。
 スペンサーものを楽しめるかどうかは、主人公の探偵スペンサーの生き方に共鳴できるか、独特の会話を楽しめるかどうか、菊池訳が気にならないか、このあたりがポイントであると思う。初めてパーカーの作品を読んだときは、これらの要素が新鮮で気に入ったものだが、二十作を超えるとさすがにマンネリになる、っていうか逆に鼻についてくるようになるのだ。

 さて、『虚空』はこんな話だ。スペンサーの二十年来の友人、ボストン市警察殺人課のフランク部長刑事がスペンサーを訪ね、新妻のリーサが失踪したと相談にやってくる。ところがその数日後、単身で調査を行うフランクは何者かに撃たれ、スペンサーが跡を引き継ぐことになった。捜査が進むにつれ、明らかになるリーサの秘められた過去。そして同時に、一人の凶悪な男の存在も明らかになってきた……。

 相変わらず登場人物の造型がパターン化されているが、かっこいいことはかっこいい。ホークに変わるヒスパニック系の相棒や、ギャング団のボスなど、面白そうな人物を面白く動かしている。
 正直言って、現在の作品とデビュー当時の作品のレベルにほとんど差はないと思う。それはそれで大したことだと思うのだが、少しは作家としてのチャレンジができないものか。まあ、ストーリー上での動きはあるのだが、創作者としてのリスクがまったくないところでの変化でしかない。そういうジャンルの小説はあってもいいし、面白いものだってある。否定するつもりは毛頭無い。ただ、パーカーにはそうあってほしくはないんだよなぁ。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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