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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


リチャード・ニーリィ『心ひき裂かれて』(角川文庫)

 クライアントの編集長と飲む。景気のいい話はまったく聞けず。クライアントに元気がないとこっちも困るんだけどなぁ。

 リチャード・ニーリィの『心ひき裂かれて』読了。
 角川文庫で復刊されたニーリィの三冊、『オイディプスの報酬』『殺人症候群』と続けて読んでみたが、いやー、堪能しました。個人的な評価だが、たまたま後に読んだものほど出来がよかったので、よけいに楽しめた。

 で、一番面白かった『心ひき裂かれて』だが、こんな話。
 主人公のハリーは下新聞記者だが、今は作家目指して人生浪人中の身の上。幸い妻の資産があるので生活には困らないが、肝心の妻は重度の精神障害に悩まされて病院に入院していた。しかし、ようやく退院を迎えた矢先、その妻がレイプされるという事件が起こる。ハリーは警察に協力するが、そんなハリーと警察を嘲笑するかのようにその身辺でレイプ事件が続発。だが、ハリーもかつての恋人と再会し、妻や警察には明かせない秘密を作ろうとしていた……。

 『オイディプスの報酬』も『殺人症候群』もわるくないが、『心ひき裂かれて』がダントツではなかろうか。この作品に関しては内容を説明するだけでもネタバレの危険があるので多くは語らないでおく。とにかく緊密な構成と、それを活かしたどんでん返しの妙は見事というほかない。頼むから各出版社は残りの未訳作品もぜひ翻訳してくれい。超おすすめ。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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