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 先週からずっと会社で面接ばかりやっている。いろいろな人間と話すのは楽しいことも多いのだが、これだけ続くといい加減飽きてくるうえ、口と顎が疲れる。いきおい面接時以外はけっこう無口になってしまい、喋るのが億劫な毎日。

 久々にボワロ&ナルスジャックを読む。創元推理文庫から『仮面の男』。
 しがないヴァイオリン弾きのジャックはある日見知らぬ男から、ある女性の行方不明になった夫になりすましてくれという奇妙な依頼を受ける。なんでもジャックとその行方不明の夫は瓜二つらしいのだが、その妻にもばれぬようにするため、記憶喪失も装ってくれという。実はその夫婦は近々遺産を相続するはずだったのだが、夫が存命でないかぎり受け取ることが出来ないため、夫になりすまして遺産を受け取ってくれというわけなのだ。金に困っていたジャックはやむなくその依頼を受けたが、その裏にはとんでもない陰謀が待ち受けていた……。

 ううむ、なかなか洒落てます。年をとってもあまり嬉しいことはないけれど、少なくともフレンチ・ミステリーとハードボイルドを心から楽しめるようになったことは喜ばしいかぎりである。
 本作では主人公とヒロインの日記を交互に記述する形をとっている。一見、叙述トリックかと思われそうだが、全然そっち方面には関係ない。むしろ二人の微妙な感情のもつれを描くことに重きが置かれ、その心理的要素でサスペンスを盛り上げていく。地味と言えば地味だが、その過程が自然に描かれており、しかも映画の1シーンのように目に浮かんでくるところはさすがフランスの巨匠の手になるだけのことはある。皮肉なラストも何とも言えぬ余韻を残す。おすすめ。
 なお、扉のあらすじはネタバレにて、読んではいけません。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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