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三橋一夫『勇士カリガッチ博士』(国書刊行会)
三橋一夫の『勇士カリガッチ博士』(国書刊行会)読了。三橋一夫といえば、戦後かの「新青年」 に「まぼろし部落」シリーズをひっさげて登場し、 たちまち人気を集めた作家である。その何ともいえぬ不思議な味わいが大きな特徴だが、後にはがらっと作風を変え、いわゆる明朗小説を多作し(純粋なミステリもいくつか書いたが)、そちらでも人気を博した。
今でも一部のファンの間では絶大な人気を誇り、ネットのオークションでは毎度のように高値を記録している。そのくせ多作だったわりには、いま現役で読めるものは国書刊行会の『勇士カリガッチ博士』ぐらいで(もしかするとこれも品切れかも)、著作よりそっちの方が不思議な話である。
「腹話術師」
「白鷺魔女」
「空袋男」
「親友トクロポント氏」
「島底」
「久遠寺の木像」
「鏡のなかの人生」
「招く不思議な木」
「夢」
「秋風」
「ばおばぶの森の彼方」
「勇士カリガッチ博士」
「怪獣YUME」
「鬼の末裔」
「角姫
収録作は以上。「新青年」に書かれたものを中心に集めた作品集で、いわゆる「奇妙な味」という表現では全然足りないぐらい、ホントに変な話が目白押しである。ただ、誤解しないでもらいたいのは、単に着想が奇抜なだけではないということだ。その根本はヒューマニズムに溢れ、描写もユーモアに満ちている。実に読んで温かな気持ちになれるところがいい。とはいいながら、それなりに衝撃的な作品もあり、やはりクセが強すぎて好き嫌いがでる作家ではあるだろう。
「親友トクロポント氏」や「勇士カリガッチ博士」のようにふしぎパワー全開の作品もいいのだが、特に気に入ったのは「夢」「秋風」「ばおばぶの森の彼方」。実はこの三作はふしぎ度からいうとそれほど点数はあげられないのだが、美しさではダントツといってよい。不覚にも涙腺が緩んでしまったほどで、この三作を読むだけでも本書に出会えて良かったと思う。
今でも一部のファンの間では絶大な人気を誇り、ネットのオークションでは毎度のように高値を記録している。そのくせ多作だったわりには、いま現役で読めるものは国書刊行会の『勇士カリガッチ博士』ぐらいで(もしかするとこれも品切れかも)、著作よりそっちの方が不思議な話である。
「腹話術師」
「白鷺魔女」
「空袋男」
「親友トクロポント氏」
「島底」
「久遠寺の木像」
「鏡のなかの人生」
「招く不思議な木」
「夢」
「秋風」
「ばおばぶの森の彼方」
「勇士カリガッチ博士」
「怪獣YUME」
「鬼の末裔」
「角姫
収録作は以上。「新青年」に書かれたものを中心に集めた作品集で、いわゆる「奇妙な味」という表現では全然足りないぐらい、ホントに変な話が目白押しである。ただ、誤解しないでもらいたいのは、単に着想が奇抜なだけではないということだ。その根本はヒューマニズムに溢れ、描写もユーモアに満ちている。実に読んで温かな気持ちになれるところがいい。とはいいながら、それなりに衝撃的な作品もあり、やはりクセが強すぎて好き嫌いがでる作家ではあるだろう。
「親友トクロポント氏」や「勇士カリガッチ博士」のようにふしぎパワー全開の作品もいいのだが、特に気に入ったのは「夢」「秋風」「ばおばぶの森の彼方」。実はこの三作はふしぎ度からいうとそれほど点数はあげられないのだが、美しさではダントツといってよい。不覚にも涙腺が緩んでしまったほどで、この三作を読むだけでも本書に出会えて良かったと思う。
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