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 マイクル・クライトン『プレイ-獲物-(上)』読了。
自伝ともいえる『インナー・トラヴェルズ』ではなんだか釈然としないものを感じてしまったが、さすがに小説は相変わらずの安定感。ナノテクノロジーに関する情報を盛り込んで、見事にエンターテインメントに仕上げている。

 とりあえずは十分に面白い。実際、クライトンのレベルでエンターテインメントやってくれる人ってそうはいないはずだ。上下巻を一気に読ませるリーダビリティの高さといい、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーを真っ向から料理する手際といい、実に鮮やか。
特に評価したいのは、この手のパニックものにしては実に構造がシンプルなことだ。最近はスケール感やらスピード感を出そうとしてか、さまざまな視点から描いたり、いろいろな時間軸を用いたり、カットバックを多用したり、とにかく落ち着きのない構成が多い。その点、クライトンは道具立てはいろいろと凝るが、小説そのものの構造は実にシンプルである。結局、多彩な情報をいかにわかりやすく伝えるか、ということになるのかな。これは構成だけでなく、文章も同様。技術もさることながら、クライトンの作家としての姿勢が伺えて興味深い。

 ただ、誉めといてなんだけど、ここまで定型化しすぎると、そろそろいいかなという気分にもなってくるのも事実。情報の内容こそ違うけれど、読後感がどれも同じなんだよなぁ。エンターテインメントに徹しているかぎりは変わらないのだろうけど、また、作者の違った部分も見てみたいのだが。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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