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デイヴィッド・イーリイ『ヨットクラブ』(晶文社)
デジキューブ破産。年の瀬近くになって業界を激震が走る。ちょっと身辺が慌ただしくなりそう。
そんな大変なご時世にあって、ここ数日の読書は当たりが多く、精神のバランスを保つのに一役買っている。本日の読了本、デイヴィッド・イーリイの『ヨットクラブ』は早川書房の異色作家短編集をお手本にした企画ということだが、これも文句なしに楽しめる一冊だった。
収録作は以下のとおり。
The Academy 「理想の学校」
Creatures of the Sea 「貝殻を集める女」
The Sailing Club 「ヨットクラブ」
An Angel of Mercy 「慈悲の天使」
The Interview 「面接」
Count Down 「カウントダウン」
Time Out 「タイムアウト」
The Neighbors 「隣人たち」
The Glory of G.O’D. 「G.O’D.の栄光」
The Persecution of the Colonel 「大佐の災難」
The Evening Guests 「夜の客」
Dolley Madison in Peru 「ペルーのドリー・マディソン」
Living in Sin 「夜の音色」
One Sunday after Church 「日曜の礼拝がすんでから」
The Human Factor 「オルガン弾き」
「いつもと違う道から帰ったばっかりに」。キーワードはこれ、ちょっと長いけど。日常の裏側に隠された不安と恐怖を描くブラック・ユーモア集とでも呼べばよいのか、イーリイの作品はまさに異色作家短編集の名に恥じない「奇妙な味」の傑作揃いである。
無理矢理に断言してしまうが、短編の醍醐味というのは、ひねりを効かせたオチの鮮やかさで読ませるものと、何ともいえない居心地の悪さを与えてくれるものの2種類あると思うのだが、本書ではこの2系統の作品がほどよくミックスされている。
で、オチの効いた「理想の学校」や「ヨット・クラブ」、「カウントダウン」なども悪くはないのだが、本書の肝はやはり「面接」「タイムアウト」「隣人たち」などに代表される、より奇妙な味の強いものにあると思うわけだ。個人的にはオチがありそうでなさそうで、最後まで何ともいえない後味の悪さが残る「隣人たち」が超ツボ。「タイムアウト」も絶品で、できれば長編で読みたいぐらいの力作である。
※文庫化に際し、『タイムアウト』に改題。
そんな大変なご時世にあって、ここ数日の読書は当たりが多く、精神のバランスを保つのに一役買っている。本日の読了本、デイヴィッド・イーリイの『ヨットクラブ』は早川書房の異色作家短編集をお手本にした企画ということだが、これも文句なしに楽しめる一冊だった。
収録作は以下のとおり。
The Academy 「理想の学校」
Creatures of the Sea 「貝殻を集める女」
The Sailing Club 「ヨットクラブ」
An Angel of Mercy 「慈悲の天使」
The Interview 「面接」
Count Down 「カウントダウン」
Time Out 「タイムアウト」
The Neighbors 「隣人たち」
The Glory of G.O’D. 「G.O’D.の栄光」
The Persecution of the Colonel 「大佐の災難」
The Evening Guests 「夜の客」
Dolley Madison in Peru 「ペルーのドリー・マディソン」
Living in Sin 「夜の音色」
One Sunday after Church 「日曜の礼拝がすんでから」
The Human Factor 「オルガン弾き」
「いつもと違う道から帰ったばっかりに」。キーワードはこれ、ちょっと長いけど。日常の裏側に隠された不安と恐怖を描くブラック・ユーモア集とでも呼べばよいのか、イーリイの作品はまさに異色作家短編集の名に恥じない「奇妙な味」の傑作揃いである。
無理矢理に断言してしまうが、短編の醍醐味というのは、ひねりを効かせたオチの鮮やかさで読ませるものと、何ともいえない居心地の悪さを与えてくれるものの2種類あると思うのだが、本書ではこの2系統の作品がほどよくミックスされている。
で、オチの効いた「理想の学校」や「ヨット・クラブ」、「カウントダウン」なども悪くはないのだが、本書の肝はやはり「面接」「タイムアウト」「隣人たち」などに代表される、より奇妙な味の強いものにあると思うわけだ。個人的にはオチがありそうでなさそうで、最後まで何ともいえない後味の悪さが残る「隣人たち」が超ツボ。「タイムアウト」も絶品で、できれば長編で読みたいぐらいの力作である。
※文庫化に際し、『タイムアウト』に改題。
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