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海野十三『地球盗難』(ソノラマ文庫)
海野十三のSFでの代表作とされている『地球盗難』を読む。
ううむ、これは何と言ったらよいのやら(笑)。カブトムシ取りに出かけた中学生が、巨大なカブトムシを発見し、その後を追ううちに行方不明になる発端はよいとして<いや必ずしもよいとはいえないのだが(笑)、その他の巨大生物、宇宙人やロケット等、さまざまなガジェットを駆使して繰り広げられる壮大すぎる展開に、もうついていくのがやっと。物語がどう転ぶのかハッキリ言って見当がつかない。
いわゆる奇想小説と呼ばれるものがあり、香山滋や山田風太郎らはその代表といえると思うのだが、彼らの作品と、海野十三のそれとは明らかに大きな隔たりがあるのではないか。ここまで空想が広がるのは素晴らしい限りだが、物語としての完成度は自由度が高すぎる分破綻しているようにも思える。もちろんその想像力の広がりは海野十三の作家としての資質を落とすものではなく、当時の日本にあってはかなり貴重なものであったはず。それでも私は、この作品にはピンとこなかった。
「振動魔」や「人間灰」といった探偵小説を読んだときに感じたような、ゾクゾクするような喜びは残念ながら本書では感じられなかった。個人的な感性の問題もあるのだろうが……うーん、海野の他のSF作品をもっと読むまで判断は保留しとこう。
ううむ、これは何と言ったらよいのやら(笑)。カブトムシ取りに出かけた中学生が、巨大なカブトムシを発見し、その後を追ううちに行方不明になる発端はよいとして<いや必ずしもよいとはいえないのだが(笑)、その他の巨大生物、宇宙人やロケット等、さまざまなガジェットを駆使して繰り広げられる壮大すぎる展開に、もうついていくのがやっと。物語がどう転ぶのかハッキリ言って見当がつかない。
いわゆる奇想小説と呼ばれるものがあり、香山滋や山田風太郎らはその代表といえると思うのだが、彼らの作品と、海野十三のそれとは明らかに大きな隔たりがあるのではないか。ここまで空想が広がるのは素晴らしい限りだが、物語としての完成度は自由度が高すぎる分破綻しているようにも思える。もちろんその想像力の広がりは海野十三の作家としての資質を落とすものではなく、当時の日本にあってはかなり貴重なものであったはず。それでも私は、この作品にはピンとこなかった。
「振動魔」や「人間灰」といった探偵小説を読んだときに感じたような、ゾクゾクするような喜びは残念ながら本書では感じられなかった。個人的な感性の問題もあるのだろうが……うーん、海野の他のSF作品をもっと読むまで判断は保留しとこう。
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