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 パーシヴァル・ワイルドといえば古くは『検死裁判』、新しいところでは『悪党どものお楽しみ』でその名を知られた一癖も二癖もありそうな作家である。その彼の日本での最新作が本日の読了本、『探偵術教えます』。まあ、最新作といっても1947年の作品だが。

 主人公はお金持ちのお抱え運転手、モーラン。彼はもっか通信教育で探偵術を受講中の身。そんな彼が偶然事件に巻き込まれ、習ったばかりの探偵術で事件解決に乗り出していく。しかし基本的にはマヌケでお調子者のモーラン。やることなすことトンチンカンで、事件はさらに混迷をきわめていくが、いつの間にか本人も知らないうちに事件を解決してしまっているというユーモア・ミステリだ。
 
 まず主人公のキャラクターを初めとする人物描写が抜群に巧み。また、物語はモーランと探偵術の講師との書簡形式(通信教育だからね)で綴られるのだが、お互いの立場を踏まえた上での皮肉っぽいやりとりも実に楽しい。
 「トンチンカンな捜査や推理で事件を混乱させるくせに、何故か事件は無事解決」というパターンはロバート・L・フィッシュのシュロック・ホームズ・シリーズが有名だが、こちらはそれに通信教育の内容を曲解したり、講師とのやりとりが加わるので、面白さではこっちの方が上かもしれない。
 ただ、主人公の失敗が上手く事件解決に結びつく、というのは、これでなかなか難しようで、残念ながら高いレベルでそれが成功しているようには思えない。タイトルでいえば冒頭の「P・モーランの尾行術」「P・モーランの推理法」、そしてお終いの「P・モーラン、指紋の専門家」は良い出来だが、会話で何とか持たせている印象の作品もいくつかある。かしこまって探偵小説を読むのではなく、ユーモア小説として読む方が正解でしょう。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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