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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』(ちくま文庫)

 なんだか体も心も疲れ果てて休みをとることにする。といっても朝まで会社で仕事をしていたので、とても休日という感覚ではなく、ちょっと買い物に出た以外は家でごろごろ。先週見逃した『マイノリティ・リポート』を再び借りてきて観たり、本を読んだり。
 ちなみに『マイノリティ・リポート』は、タイムトラベルものとかにありがちな矛盾がやっぱり此処彼処に見受けられたが、それでも娯楽作品としては十分楽しめる。SFアクション的な前半から後半のミステリ的展開にいたるまでの構成が巧い。

 読了本はちくま文庫の『怪奇探偵小説傑作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』。まずは収録作から。

「恋愛曲線」
「人工心臓」
「按摩」
「犬神」
「遺伝」
「手術」
「肉腫」
「安死術」
「秘密の相似」
「印象」
「初往診」
「血友病」
「死の接吻」
「痴人の復讐」
「血の盃」
「猫と村正」
「狂女と犬」
「鼻に基く殺人」
「卑怯な毒殺」
「死体蝋燭」
「ある自殺者の手記」
「暴風雨の夜」
「呪われの家」
「謎の咬傷」
「新案探偵法」
「愚人の毒」
「メヂューサの首」
「三つの痣」
「好色破邪顕正」
「闘争」

 しばらく前に国書刊行会の『人工心臓』を読んだばかりだが、このうち収録作がだぶっているのは「犬神」「恋愛曲線」「人工心臓」「死の接吻」「メヂューサの首」「闘争」の六作品。まあ、経済的な範囲だとは思うが、傑作が多いのはちょっとひっかかる。もしかして小酒井不木の傑作というと、ほぼこの辺に絞られるということなのだろうか?
 これが、絶版状態の国書版を丸ごと入れちゃったとか、決定版を作るため、というのなら話はわかる。だが一応棲み分けというか、収録作をだぶらせないという配慮が為されたうえでの結果だとしたら少し辛かろう。著作は決して少なくない人だし、他の短編を選ぼうと思えば選べるはず。巻末の解説も割とさっぱりしていたので、この辺の事情はわからないが、本当のところを知りたいものである。
 内容そのものには満足しているんだけどね。

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Comments

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Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。
いい活動をされていますね。機会があればぜひ拝見したいものです。
今後の活躍を期待しております。

Posted at 17:27 on 07 13, 2021  by sugata

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Posted at 05:18 on 07 13, 2021  by

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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