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 本日の読了本はマイクル・クライトンの『インナー・トラヴェルズ(下)』。

 ううむ、微妙だなぁ。
 本書がクライトンの半生を綴り、精神の遍歴を語るような内容になっているのはいいとして、それが素直に納得できないのはなぜだろう? 天から二物も三物も与えられた秀才に対するやっかみ? お金持ちに対する僻み?

 ハーヴァードのメディカルスクールを卒業しながら、あえて医者という道を選ばなかったクライトン。彼の生き方は、頭では理解できるものの心情的には納得することができない。それでも序盤の医大生時代はいろいろと考えさせられる話が多いのだが、中盤の世界中を巡る旅の話では、どれだけ海や山での壮絶な経験を披露してくれてもなんだかなぁという感想しか浮かばない。後半に出てくる心霊関係の話からもわかるように、本書は結局クライトンの死生観をつづったエッセイではないかと考えるのだが、それまでの冒険談が前振りとしての役目を果たしているようで、いかにも安っぽいのだ。一見ドキュメントっぽく語られる冒険の数々は、プロの冒険家からはどのように映るのだろう?
 いっそのこと、すべては小説の取材のためである、そう言ってくれたほうがどんなにか共感できただろう。クライトンが好奇心の塊であることは事実だろうし、行動力は賞賛に値する。ただ、その動機付けにどことなく違和感を感じるのは、管理人だけではないと思う。「凄腕のエンターテイナーとしてのクライトン。そう言われるだけでは満足できないのかい?」なんてことを聞いてみたい気もする。いったいこの温度差は何なのだろう。


テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌




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