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 『怪奇探偵小説名作選5 橘外男集 逗子物語』読了。収録作品は以下のとおりで、上の五作が海外を舞台にした実話風の作品、下の五作が日本の怪談ものという構成。橘外男という作家の傾向がある程度つかめる仕組みとなっている。

「令嬢エミーラの日記」
「聖コルソ島復讐奇譚」
「マトモッソ渓谷」
「怪人シプリアノ」
「女豹の博士」
「逗子物語」
「蒲団」
「生不動」
「幽魂賦」
「棺前結婚」

 さて、個人的には橘外男の作品集を読むのはこれが初めてである。無論アンソロジーではいくつかの作品を読んだことはあるが、その数少ない読書体験から受けた印象は、奔放な想像力とエネルギッシュな語り口で、海外の奇妙な話をぐいぐい読ませる、というイメージ。まあ、よく著者紹介に書いてあるとおりの印象である(笑)。
 で本書を読んでの感想だが、一面ではそのイメージはまったく変わらなかった。ノリ重視というか、くどいばかりのフレーズがこれでもかこれでもかと出てくる。繰り広げられる話の内容も、その語り口に負けず劣らず濃い。本能の赴くまま、といったら大げさかもしれないが、少なくとも面白いホラ話を聞かせてやろう、という著者の熱は十分すぎるぐらい感じることができた。「令嬢エミーラの日記」や「聖コルソ島復讐奇譚」あたりはその代表格であり、大仰なれど古き良き時代を感じさせて決して嫌いではない。
 一方、日本を舞台にしたものは、著者の別の顔である。著者のこの手のものは「逗子物語」以外おそらく読んだことがなかったので余計新鮮に思えたのだが、もうとにかくストレートな怪談ものなのである。しかも海外物とは一転して実にしみじみと語られるその幻想の世界。この作者はこういうタイプの物語もたくさん書いていたのだという驚きに加え、このレベルの高さは何事なのだという二重の驚き。あらためて読んだ「逗子物語」、そして「蒲団」の凄さはちょっと比べる作品が思い浮かばないほどだ。
 というわけで本書で橘外男の凄さを再認識した次第。ワンダーランドや現代教養文庫もそのうち読んでみたい。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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