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 寓話の名手といった感があるポール・ギャリコ。本日の読了本『ハリスおばさんパリへ行く』は、通いのメイドさんを主人公にした心温まる物語。

 陽気で働き者のハリスおばさん。夫に先立たれ、今は通いのメイドとして慎ましやかに暮らしていたが、ある日、仕事先の家でディオールのドレスを見て、たまらなく欲しくなってしまう。節約してなんとかお金をつくり、パリへ渡ったおばさんは、とうとう憧れのドレスを手に入れるが……。

 とにかく読みどころは、ユーモラスに語られるハリスおばさんと周囲の人たちとの交流だ。素朴で純粋なおばさんの存在が、周囲の人々の心を溶かし、本来持っていた素晴らしい部分を引き出してゆく。
 ハリスおばさんも人生の悲哀を味わい、ラストはそれなりに皮肉な試練が待っている。もちろんそれはそれで重要な意味を含んでいる。人生は楽しいことばかりではないが、さりとて辛いことばかりでもなく、トータルしたらそう捨てたもんでもない。ただし、人生にとって何が大切なのか、それを知っていることが前提なのだね。

 なお、原題はFlowers for Mrs Harris(ハリスおばさんに花束を)。読んだ人ならわかると思うが、このタイトルは見事です。


テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌




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