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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


香山滋『悪魔の星』(ソノラマ文庫)

 ようやく読書ペースが戻りつつある。本日はジュヴナイルでお茶を濁そうと香山滋の『悪魔の星』を持って家を出る。香山滋の子供向け作品は初めて読むので、どんなものか興味津々であった。

 東シナ海を我が物顔で暴れ回る海賊「悪魔の星」。幼い頃彼らに誘拐された山住譲治は、同じく誘拐された少女エミとともに脱出を決意する。追跡の手をようやく振り切り、ある孤島にたどりついた二人は、島でエミとそっくりの少女とその祖父と称する謎の老人に出会うが……。

 ううむ、子供向けだから多少のことには目をつむりたいが、これだけご都合主義の連発でこられるとさすがに辛い、っていうか、これならどんなストーリー展開もありでしょ。一応秘境冒険ものだが、それらしい小道具も海賊とか孤島ぐらいで、凝ったものは一切なし。しかも肝心の悪役があまりにパワー不足で、少年たちの前に立ちはだかるにはちょっと弱々しすぎ。あの大人もので見せるハッタリやケレン味はいずこ? どうした香山滋?
 いかに江戸川乱歩の書く少年探偵団シリーズがよくできているか、それを再確認できた作品ではある。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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