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 やっとの思いで『死者はよみがえる』を読む。これまた1週間ぐらいかかってしまったが、早く仕事楽にならんものかね。
 この間に生島治郎が亡くなるというビッグニュースもある。生島治郎は一般の人にとってはやはり『片翼だけの天使』(だっけ?)が知られているのだろうか? 私にとっては『追いつめる』を書いたという一点のみで忘れられない作家である。というか、他はほとんど読んでない(笑)。

 それはともかくとして、『死者はよみがえる』。
 ううむ、はっきり言って辛い。久々に相性の悪いカー作品に出会ってしまった。出だしはそれほど悪くなかったのだが。

 南アフリカにあるビール会社社長の息子であり、作家のクリストファー・ケント。彼は自分の恵まれた境遇を揶揄する友人に反発し、ある賭をすることになった。一文無しでヨハネスブルグを出発し、10週間後にロンドンのホテルで落ち合うというものだ。
 その約束の日の前日、ケントは無事にロンドンに着いていたがあいにく金を使い果たしてしまい、落ち合う予定のホテルで宿泊客を装って食い逃げを図る。ところが運の悪いことに、係りに伝えたでたらめな部屋の番号の前客が、部屋に腕輪を忘れたという伝言が入り、ケントはポーターと部屋へ入るはめになる。そしてそこでケントが見たものは、女性の惨殺死体であった。ケントはホテルから逃走し、フェル博士に助けを求めた。

 ここまではなかなか興味深い展開だ。ただ、このあとがよくない。
 ケントがあっさりと容疑者から外れるのはまだいいとして、以後延々と関係者への事情聴衆が繰り返される。ここがすこぶる退屈。会話だけ、議論だけで展開してもかまわないが、そこに読者を退屈させないだけの何らかの魅力や工夫があればいいのだが、残念ながら本書にはそれがないのだ。個性的な人物も少ないうえ、フェル博士もいまひとつ遠慮がちで、ハッタリを効かすふうでもない。なんだか推理クイズを読んでいる感が強い。
 よく言えば本格のエッセンスに満ちた作品、悪く言えば構成の甘さが目立つ作品、もしくは小説の面白さが欠落した作品といえるだろう。個人的にはカーのワースト5に入れたいぐらいのれなかった。なお、トリックもあれれ、という感じで、本格ファンが読んでも不満が残るとは思うが。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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