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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


香山滋『月ぞ悪魔』(出版芸術社)

 朝起きてもまったく熱が下がる様子もなく、会社を欠勤する。発熱したときには熱いうどんを食って目一杯フトンを重ねて汗をかきまくってひたすら寝る。ガキの頃からこの方法を用い、どんな高熱もわずか一日あれば平熱に回復できたのだが、この歳になると新陳代謝能力の衰えからか、そうは簡単にいかないようだ。といっても食欲がないからうどんも食っていないんだけど。
 それでも暖房を強めにして汗はけっこうかいて寝ていたため、午後過ぎから少しずつ熱が下がり始める。ちょっと安心して本日も軽いものなら、ってんで読み始めたのが香山滋『月ぞ悪魔』(出版芸術社)。まあ、軽くはないのだが、先月読んだ数冊とほとんど収録作がだぶっているため、とばし読みできるのがミソである。<よい子のみんなはこういう読み方はしないように。

「オラン・ペンデクの復讐」
「オラン・ペンデク後日譚」
「オラン・ペンデク射殺事件」
「海鰻荘奇談」
「海鰻荘後日譚」
「蜥蜴の島」
「エル・ドラドオ」
「処女水」
「美しき獣」
「月ぞ悪魔」
「心臓花」
「妖蝶記」

 収録作は以上。「美しき獣」以外は見事に昨年末に読んだばかりなので、ここでは作品ごとの感想はパス。そちらの日記を参照してほしい。ただ、こんなに短い期間で再読すると感激が薄れるかとも思ったが、要らぬ心配だった。ストーリーを知っていることに加え、こちらが熱で頭がぼおっとしていることもあって、ますますその妖美で偏執的な文体を深く味わうことができるのである。特に人見十吉ものやオラン・ペンデク等の秘境系は気分倍増である。
 まあ、だまされたと思ってやってみてください。発熱のときは秘境物に限る。ただし極寒を舞台にしたものは除く。あ、でもそういう設定のSFがあったような気が?

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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