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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ジェラルド・カーシュ『壜の中の手記』(晶文社)

 仕事がたまって休日出勤になりそうだったが、土曜には芝居を観る予定が入っていて、すでにチケットも購入済み。そのため気合いを入れて仕事を今日中に終わらそうと決意。朝の四時頃までかかったが何とか終了し、始発まで少し時間もあるのでサウナへ直行。一風呂浴びてから帰宅するが、結局ほとんど寝ずに芝居を観る羽目になりそうである。やばいなあ。

 晶文社ミステリの第二回配本となるジェラルド・カーシュ『壜の中の手記』を読了。アンソロジーで短編をいくつか読んだことはあるが、まとめて読むのは初めて。収められた各短編の初出年が古いこともあるが、どこかノスタルジックな味わいを持つ、大人のためのダークなファンタジー集だ。
 早川書房の異色作家短編集もそうだが、個人的にこの手のものが大好きなこともあって、読んでいる間は大変幸せ。話の設定そのものがかなり凝っていて、あとは語りの巧さにどんどん引き込まれてしまう。まさに「奇妙な味」の逸品ぞろい。ミステリではないし、オチが効いているわけではないから、そういうアイデア・ストーリーを望む人には勧めないが、単純に面白い小説を望む人には一度は読んでもらいたい。
 ただ、「ブライトンの怪物」は作者の無知故の作品なのだろうが、差別問題とかを抜きにしても人としてちょっと問題がある。これは収録しない方がよかったのではないかなぁ。

 ところでちょっと話はそれるが、スタートしたばかりのミステリ叢書にこういう作品を入れるというのは、どんな理由があるのだろう? 基本的にカーシュはミステリ作家とは言えないし、本書もミステリではない。バークリーがあれだけ入っているのだから、読者はやはり古典復刻のブームに乗った叢書だと思っているだろうしなぁ。単に編者の好み? それとも今後はかなり幅広い内容を含んだ叢書になるのだろうか? ちょっとイメージが掴みにくくなってきた。

※追記
 後に角川文庫に収録されたが、角川文庫版ではFrozen Beauty「凍れる美女」、In a Room Without Walls「壁のない部屋で」を新たに収録し、「カームジンと『ハムレット』の台本」が外されている。また、「狂える花」は、晶文社版は雑誌掲載時のバージョン、角川文庫版では短編集『The Terribly Wild Flowers』に収録されたバージョンとなっている。

The Queen of Pig Island「豚の島の女王」
River of Riches「黄金の河」
Crooked Bone「ねじくれた骨」
Men Without Bones「骨のない人間」
The Oxoxoco Bottle「壜の中の手記」
The Brighton Monster「ブライトンの怪物」
Seed of Destructio「破滅の種子」
Bone for Debunkers「カームジンと『ハムレット』の台本」
The Crewel Needle「刺繍針」
The King Who Collected Clocks「時計収集家の王」
The Terribly Wild Flowers「狂える花」
Comrade Death「死こそわが同志」

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Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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