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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ドナルド・E・ウェストレイク『361』(ハヤカワミステリ)

 『オーシャンズ11』をDVDで観る。ハッキリ言ってしょぼすぎ。あれだけキャストを集めるとえてしてダメダメ映画になるのはよくある話で、これも間違いなくその例に入る。
 まず犯罪計画が大雑把。実行に移す前にたいした説明がないので、それをどうやってクリアしていくのか興味がつなげず、その場その場の行き当たりばったりな印象を受ける。だいたい犯罪計画に11人は多すぎる。しかもプロの犯罪者が少ないので、失敗する可能性が高そうだし、成功しても、後で簡単に足がつくのではないか?
 例えばフォーサイスがこういう話を書いたら、計画を進める段階だけでもかなり盛り上がるはず。というか、そういうところが面白いのに。完璧な計画をたて、これがプロの犯罪だ、というところを見せてくれないと説得力もくそもない。11人のつながりも薄く、なぜこのメンツなのかの理由も希薄。おまけにジュリア・ロバーツなんて、ほとんど存在価値なし。もったいないキャストだよなあ。久々に時間を損したって感じの映画でした。

 口直しの読書はドナルド・E・ウェストレイクの『361』。
 軍隊生活を終えて、久々にニューヨークへと帰還した主人公レイ・ケリー。迎えにきた父親で弁護士のウィラードと涙の対面を果たし、故郷へと車へ戻る途中のこと。近づいてきた車から発砲され、父親は即死。助手席に乗っていたレイも右目を失ってしまう重傷となる。しかもその直後、レイの兄、ビルの妻も自動車事故で死んでしまうという出来事が起こり、兄弟はこれらの事件の背後にある何かを突きとめようと調査に乗り出してゆく。

 いわば復讐談になるのだが、ウェストレイクの初期のハードボイルドの例に漏れず、その味わいは絶品。興味をそぎそうなので詳しくは書かないが、どう転ぶのか予測しにくいストーリー展開が良い。主人公の性格も最初はなかなかつかみにくく、それもあって余計に予想を外されてしまう。そして、それらを演出する暗く乾いた感じの文体。すべてが心地よいのである。
 ハードボイルドだがラストの意外性も高く、まさにこの時期のウェストレイクが期待の超新星だったことがよくわかる一冊。この辺の作品が軒並み絶版というのは大変もったいない話だ。早川書房さん、なんとかしたほうがいいよ。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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