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 チャペックといえば、個人的には長い間『山椒魚戦争』や『ロボット』の著者であり戯曲家というイメージしかなかったのだが、数年前に『ダーシェンカ』が話題になったときは、こんな一面もあったのかという意外な驚きがあった。そして、そのチャペックがミステリまで書いていると知ったときにはかなりぶっとんだ記憶がある。

 それがきっかけで少しチャペックのことを調べたのだが、実に多彩な作風をもち、様々なジャンルに手を出していたことがわかる。小説だけでも哲学的なものからSF、ミステリまであるし、エッセイ、童話、伝記などもこなす。また、ジャーナリストとしても記事から紀行文、コラム、批評まで書くという恐るべき多芸な人だったのである。

 本日の読了本はそのチャペックが書いたミステリ系の短編集『ひとつのポケットから出た話』。
もちろんチャペックが書くからには、そう純粋なミステリというわけにはいかない。ミステリの体裁をとりつつも、それは人生や人間の真理を求めるかのような哲学的な小説ばかりである。
といってもそんなに堅苦しい話でもない。全編ほのぼのとした不思議な味わいとユーモアで語られるため、たいへん心和むこと間違いなし。普通のミステリには少し飽きた、という人には箸休めとしておすすめの一冊である。

 実は姉妹作となる『ポケットから出てきたミステリー』を既に読んでいるのだが、こちらもテイストはまったく同じ。しかし『ひとつのポケットから出た話』の方が完成度は高いと思う。どうせ読むなら、まずは『ひとつのポケットから出た話』からの方が良いだろう。


テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌




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