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 体調不良につき会社を休む。先日の徹夜があまりよくなかったようで、一気に消耗。昔はこれぐらい屁でもなかったのになあ。歳はとりたくないもんです。
 で、一日中ベッドでゴロゴロしながら読んだのがポール・ギャリコの『雪のひとひら』。これもロングセラーのひとつとして有名な作品だが、恥ずかしながら読むのは初めて。

 「雪のひとひら」はその名前のごとく、「雪のひとひら」である。雲のなかから生まれた瞬間から、長い旅を終えて、雲に帰っていくまでを描いた大河小説的小編。

 なんと簡単な粗筋紹介だ。実際短い話なのでこれで大枠はつかめるが、中身の濃さは半端ではない。
 本作は解説で矢川澄子さんが書いているとおり、ファンタジーという形式を用いて平凡な女性の一生を描いている。この世に生まれ、結婚し、子供をつくり、夫に先立たれ、やがて子供は独立し、一人老いて死んでゆく……。こう書くと悲しい話のようにも思える。しかし、日々のほとんどは平穏に過ぎてゆくし、辛いことがあってもそれを支える家族があり、また、女性自身のけなげな意志がある。
 女性は平凡な一生ながら、ときおり自分というものが何なのか、振り返る。これがよい。自分は何のために生まれてきたのか、自分は何をすべきなのか、神は自分に何をさせようとしているのか。直接何かに結びつくわけではないが、それが女性の生き方を美しく感じさせ、実りのあるものにする。

 最後に女性は一人旅立つ。彼女の疑問は答の出るものではないが、「ごくろうさまだった、小さな雪のひとひら。さあ、ようこそお帰り」というどこからともなく響き渡る声に、彼女は今までの苦労が報われ、充実した一生だったことを確認するのだ。私は不覚にも涙腺が緩んで緩んでしょうがなかった。


テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌



















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